世界のこどもアート展@日本外国特派員協会
造形作家の浅野修さんが企画の中心となり、日本外国特派員協会の協力で、世界のこどもの絵画展が、今月28日まで、日本外国特派員協会で開催中。
浅野修さんは、筆者が運営に関わってきたカナガワビエンナーレ国際児童画展で審査委員を努めていました。
浅野先生は、出身地である北海道の芽室でレンガ造りの倉庫を利用した「巨大ジャガイモアート館」の運営を行い、どんな痩せた土地でも育ち、人間に栄養をもたらしてくれるジャガイモを、同館のモチーフにしている。同館では自らの立体作品とともに、あるいは作品に組み込んで、世界のこどもたちの絵を観ることができる。
日本外国特派員協会で展示されている作品は、ウクライナを中心に、スリランカ、イラン、中国、イスラエル、ラトビア、ロシア、オーストラリア、メキシコ、アルゼンチンなどからのこどもたちが描いた絵です。
浅野先生は、「こどもの絵を描きたい」と晩年語ったパブロ・ピカソから話しをし始めました。こどもを題材にした絵ではなく、ピカソがこどもの頃に描いた絵を、もう一度描きたいと願ったということです。どんな優れた画家であってもその原点はこどもにあるということでしょうか。
続けて、浅野先生は、「こどもは戦争をしないのだ」と語る。
それは、戦争によって一番に被害を被るのは、こども、老人、障がい者の社会的弱者たちだからです。
「こどもの絵にうまい下手はない」。
こどもはその時々の思考や感情を絵にしています。だから絵のうまさ下手さではなく、こどもの思いをその絵から汲み取ることが大切なことだと思います。
浅野先生のスピーチの後、日本で活動しているウクライナの民族楽器バンドゥーラの演奏家、カテリーナさんの歌と演奏がありました。カテリーナさんは、幼い頃、ウクライナのチェルノブイリ原発事故(1986年)に被災しました。19歳の時、来日し、演奏活動を行っています。当日演奏した曲は、ウクライナの第二国家といわれている「赤いカリーナは草原に」、ジョン・レノンの「イマジン」、そして、赤い鳥の「翼をください」。いずれの楽曲も、ウクライナの平和と自由の願いが込められています。
余談ですが、プレスルーム会場には、ウクライナ出身力士、安青錦も駆け付けていました。安青錦の化粧まわしは、キース・へリングをモチーフにしたデザインで、現在開催中の「キース・ヘリング展」の茨城県立近代美術館を訪れたようです。
今展に出品されているこどもたちの絵は、カナガワビエンナーレ国際児童画展の選外作品です。選外作品の活用事業として、教育文化団体、NPO法人などからの希望に基づき、選外作品の寄贈を行っています。浅野先生から、以前より何回かに分けて選外作品の寄贈希望があり、浅野先生が主宰するNPO十勝めむろ赤レンガ倉庫・巨大じゃがいアート館に寄贈した選外作品です。
海外のこどもたちを支援している美術家には、造形作家の上條陽子さんがいます。新人画家の登竜門であった安井賞を女性で始めて受賞した作家の上條さんは、美術評論家の針生一郎が1999年命名した「東京からの七天使」の一人としてパレスチナのガザを初めて訪問し、それ以来、パレスチナのこどもたちとのワークショップを何度か行っています。最近では、ガザの画家3人を日本に招聘し、彼らの作家活動を紹介しています。
浅野先生も上條先生も御年80歳を超えてなおかつ活動を継続されています。
日本外国特派員協会では、記者たちが使用したカメラやヘルメットなどが展示されています。
またプレスルームでスピーチを行った方々の写真も展示。
世界のこどものアート展
日本外国特派員協会(千代田区丸の内)
2月28日迄開催中
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