没後50年 藤田嗣治展 Foujita: A Retrospective ― Commemorating the 50th Anniversary of his Death
没後50年 藤田嗣治展
Foujita: A Retrospective ― Commemorating the 50th Anniversary of his Death
会期 2018年7月31日(火)-10月8日(月・祝)
会場 東京都美術館企画展示室
東京都台東区上野公園8-36
休室日 月曜日、9月18日(火)、25日(火)
※ただし、8月13日(月)、9月17日(月・祝)、24日(月・休)、10月1日(月)、8日(月・祝)は開室
開室時間 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室 金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
※ただし、8月3日(金)、10日(金)、17日(金)、24日(金)、31日(金)は 9:30~21:00
観覧料 一般 1,400円 / 大学生・専門学校生 1,100円 / 高校生 600円
65歳以上 800円
※割引制度や無料入場制度あり
主催 東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社
NHK、NHKプロモーション
後援 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
問い合わせ先TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
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過去の藤田嗣治の展覧会としては、東京国立近代美術館「パリを魅了した異邦人 藤田嗣治展」、上野の森美術館「没後40年 レオナール・フジタ展」、府中市美術館「生誕130年記念 藤田嗣治展 -東と西を結ぶ絵画-」、目黒区美術館「没後50年 藤田嗣治 本のしごと 文字を装う絵の世界」(2018年)を観覧している。
藤田の生誕120年記念として2006年に東京国立近代美術館で開催された「パリを魅了した異邦人 藤田嗣治展」は、藤田の初の回顧展であったが、その前の1980年に同館で開催が予定されていた「藤田嗣治展」が中止になった経緯がある。そのいきさつについては、今展の展覧会図録に寄稿した林洋子氏が「藤田嗣治-失われた時を求めて」で記している。
パリ時代の自由奔放な生活、乳白色の裸婦、何度もの離婚再婚、戦争画(今展の作品キャプションや図録では、「戦争記録画」として表記している)、独特な表現の子どもの絵、裁縫などのまめな手仕事ぶり、などで知られている藤田だが、本稿では、ラテンアメリカ時代のことを少々触れてみたい。
藤田は、1931年から1933年までの丸二年間にわたり、ラテンアメリカを旅している。ラテンアメリカに向かう背景には、滞欧中のメキシコ人画家ディエゴ・リベラとの出会いがある。リベラは、パリで一躍注目の的となっていた藤田と川島理一郎の二人をモデルに肖像画を1914年2月頃に描いていた。藤田は藤田で、リベラの肖像を描いている。リベラは、藤田にメキシコを是非訪問して欲しいと言い残してる。
世界規模で起きた経済恐慌による景気後退で、「芸術家として絶賛され、安楽な時代の象徴だったフジタも注文は激減し、莫大な税の修正申告からやっとのことで解放されたのだった。この旅立ちは彼にとって、ひとつの好機となった。別の世界を探訪することによって、新たな芸術の息吹をみいだしたのだ」(本展カタログ、「アン・ル・ディベルデル:写真家としのフジタ、世界に向けた眼差し」より引用)。
1931年11月15日、初のラテンアメリカ訪問の地となるブラジル・リオデジャネイロに着く。到着早々の12月には、リオデジャネイロで個展を開催している。翌年の1月にサンパウロを訪問、2月にリオデジャネイロに戻り、カーニバルの審査委員を務めている。本展展示されている《町芸人》(1932年)、《カーナバルの後》(1932年)、《婦人像(リオ)》(1932年)、《リオの人々》(c1932年)は、ブラジル滞在中の制作作品。
アルゼンチンのブエノスアイレスには、1932年3月28日に入り、ブエノスアイレスのほかに、コルドバ、ロサリオで個展を開催。鉄道でボリビアに向かい、7月27日ラバスに着く。ラパスでも個展を開いている。8月19日に鉄道でラパスを離れ、チチカカ湖を渡り、ペルーのクスコに到着。リマの音楽学校の講堂で個展を開催するほかに、日本人会の依頼で講演会を開いている。
1932年10月18日、ペルーのカヤオを出港し、エクアドルのマンタに寄り、パナマ運河を経て、28日に、キューバのハバナに到着。ハバナの婦人倶楽部で個展を開催する。11月下旬にハバナ港を出港し、メキシコのベラクルスを経て、26日にメキシコシティに入る。メキシコには翌年までの7か月間の滞在となる。
※藤田の移動や個展活動の記録は、2006年東京国立近代美術館開催「藤田嗣治展」図録を参照にした。
キューバ訪問は、パリ時代に知り合ったと言われているキューバの小説家アレホ・カルペンティエール(1904-1980)を含めたキューバ人たちから招待を受けて実現されたようだ。そして、ハバナの個展では素描と油絵33点を出品している。
メキシコ滞在については、本展図録に稿を寄せている平野到氏(埼玉県立金田美術館学芸員)の「メキシコにおける藤田嗣治、そしてディエゴ・リベラ」で詳述されている。藤田はディエゴ・リベラとは再会はできなかったが、フリーダ・カーロをはじめメキシコの画家たちと親交を築いている。昨年、埼玉県立近代美術館の開催された「ディエゴ・リベラの時代-メキシコの夢とともに」では、メキシコ滞在中の藤田を支援したルイ・エイシェンヌという人物の存在が紹介された。藤田嗣治のラテンアメリカ時代の今後の研究に興味がそそられる。
東京美術学校の卒業制作として描かれた自画像と父親の肖像画から展示が始まる「没後50年 藤田嗣治展」は、『原風景-家族と風景』、『はじまりのパリ-第一次世界大戦をはさんで』、『1920年代の自画像と肖像-「時代」をまとうひとの姿』、『「乳白色の裸婦」の時代』、『1930年代・旅する画家-北米・中南米・アジア』、『「歴史」に直面する-二度の「大戦」との遭遇』『「歴史」に直面する-作戦記録画へ』、『戦後の20年-東京、ニューヨーク、パリ』、『カトリックの道行き』の9章で構成されている。
特設WEBサイト http://foujita2018.jp/
「没後50年 藤田嗣治展」2018/07/31-10/08
東京都美術館
「没後50年 藤田嗣治展」2018/07/31-10/08
東京都美術館
「没後50年 藤田嗣治展」2018/07/31-10/08
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