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2018年8月

2018年8月29日 (水)

没後50年 藤田嗣治展 Foujita: A Retrospective ― Commemorating the 50th Anniversary of his Death

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没後50年 藤田嗣治展
Foujita: A Retrospective ― Commemorating the 50th Anniversary of his Death

会期 2018年7月31日(火)-10月8日(月・祝)
会場 東京都美術館企画展示室
    東京都台東区上野公園8-36
休室日 月曜日、9月18日(火)、25日(火)
※ただし、8月13日(月)、9月17日(月・祝)、24日(月・休)、10月1日(月)、8日(月・祝)は開室
開室時間 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室 金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
※ただし、8月3日(金)、10日(金)、17日(金)、24日(金)、31日(金)は 9:30~21:00
観覧料  一般 1,400円 / 大学生・専門学校生 1,100円 / 高校生 600円
       65歳以上 800円
※割引制度や無料入場制度あり

主催 東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社
    NHK、NHKプロモーション
後援 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

問い合わせ先TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)

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 過去の藤田嗣治の展覧会としては、東京国立近代美術館「パリを魅了した異邦人 藤田嗣治展」、上野の森美術館「没後40年 レオナール・フジタ展」、府中市美術館「生誕130年記念 藤田嗣治展 -東と西を結ぶ絵画-」、目黒区美術館「没後50年 藤田嗣治 本のしごと 文字を装う絵の世界」(2018年)を観覧している。

 藤田の生誕120年記念として2006年に東京国立近代美術館で開催された「パリを魅了した異邦人 藤田嗣治展」は、藤田の初の回顧展であったが、その前の1980年に同館で開催が予定されていた「藤田嗣治展」が中止になった経緯がある。そのいきさつについては、今展の展覧会図録に寄稿した林洋子氏が「藤田嗣治-失われた時を求めて」で記している。

 パリ時代の自由奔放な生活、乳白色の裸婦、何度もの離婚再婚、戦争画(今展の作品キャプションや図録では、「戦争記録画」として表記している)、独特な表現の子どもの絵、裁縫などのまめな手仕事ぶり、などで知られている藤田だが、本稿では、ラテンアメリカ時代のことを少々触れてみたい。

 藤田は、1931年から1933年までの丸二年間にわたり、ラテンアメリカを旅している。ラテンアメリカに向かう背景には、滞欧中のメキシコ人画家ディエゴ・リベラとの出会いがある。リベラは、パリで一躍注目の的となっていた藤田と川島理一郎の二人をモデルに肖像画を1914年2月頃に描いていた。藤田は藤田で、リベラの肖像を描いている。リベラは、藤田にメキシコを是非訪問して欲しいと言い残してる。

 世界規模で起きた経済恐慌による景気後退で、「芸術家として絶賛され、安楽な時代の象徴だったフジタも注文は激減し、莫大な税の修正申告からやっとのことで解放されたのだった。この旅立ちは彼にとって、ひとつの好機となった。別の世界を探訪することによって、新たな芸術の息吹をみいだしたのだ」(本展カタログ、「アン・ル・ディベルデル:写真家としのフジタ、世界に向けた眼差し」より引用)。

 1931年11月15日、初のラテンアメリカ訪問の地となるブラジル・リオデジャネイロに着く。到着早々の12月には、リオデジャネイロで個展を開催している。翌年の1月にサンパウロを訪問、2月にリオデジャネイロに戻り、カーニバルの審査委員を務めている。本展展示されている《町芸人》(1932年)、《カーナバルの後》(1932年)、《婦人像(リオ)》(1932年)、《リオの人々》(c1932年)は、ブラジル滞在中の制作作品。

 アルゼンチンのブエノスアイレスには、1932年3月28日に入り、ブエノスアイレスのほかに、コルドバ、ロサリオで個展を開催。鉄道でボリビアに向かい、7月27日ラバスに着く。ラパスでも個展を開いている。8月19日に鉄道でラパスを離れ、チチカカ湖を渡り、ペルーのクスコに到着。リマの音楽学校の講堂で個展を開催するほかに、日本人会の依頼で講演会を開いている。

 1932年10月18日、ペルーのカヤオを出港し、エクアドルのマンタに寄り、パナマ運河を経て、28日に、キューバのハバナに到着。ハバナの婦人倶楽部で個展を開催する。11月下旬にハバナ港を出港し、メキシコのベラクルスを経て、26日にメキシコシティに入る。メキシコには翌年までの7か月間の滞在となる。

※藤田の移動や個展活動の記録は、2006年東京国立近代美術館開催「藤田嗣治展」図録を参照にした。

 キューバ訪問は、パリ時代に知り合ったと言われているキューバの小説家アレホ・カルペンティエール(1904-1980)を含めたキューバ人たちから招待を受けて実現されたようだ。そして、ハバナの個展では素描と油絵33点を出品している。

 メキシコ滞在については、本展図録に稿を寄せている平野到氏(埼玉県立金田美術館学芸員)の「メキシコにおける藤田嗣治、そしてディエゴ・リベラ」で詳述されている。藤田はディエゴ・リベラとは再会はできなかったが、フリーダ・カーロをはじめメキシコの画家たちと親交を築いている。昨年、埼玉県立近代美術館の開催された「ディエゴ・リベラの時代-メキシコの夢とともに」では、メキシコ滞在中の藤田を支援したルイ・エイシェンヌという人物の存在が紹介された。藤田嗣治のラテンアメリカ時代の今後の研究に興味がそそられる。

 東京美術学校の卒業制作として描かれた自画像と父親の肖像画から展示が始まる「没後50年 藤田嗣治展」は、『原風景-家族と風景』、『はじまりのパリ-第一次世界大戦をはさんで』、『1920年代の自画像と肖像-「時代」をまとうひとの姿』、『「乳白色の裸婦」の時代』、『1930年代・旅する画家-北米・中南米・アジア』、『「歴史」に直面する-二度の「大戦」との遭遇』『「歴史」に直面する-作戦記録画へ』、『戦後の20年-東京、ニューヨーク、パリ』、『カトリックの道行き』の9章で構成されている。

特設WEBサイト http://foujita2018.jp/

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「没後50年 藤田嗣治展」2018/07/31-10/08
東京都美術館

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「没後50年 藤田嗣治展」2018/07/31-10/08
東京都美術館

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「没後50年 藤田嗣治展」2018/07/31-10/08
東京都美術館

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2018年8月20日 (月)

El cine andaluz independiente llega a las pantallas de El Centro/Diario de Cadiz

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2018年8月14日 (火)

「Scholar」-ガブリエル・デルポンテと湘南ゆかりのアーティストたち-

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 アルゼンチン出身アーティストのGabriel Delponteと4名の湘南ゆかりのアーティストを紹介する展覧会「Scholar」が藤沢市アートスペースで8/26まで開催中。人と人とのつながりを作品を通じて今一度学び直す。

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 先日行われたワークショップ「身近なもので立体作品を作ろう!」に参加してきました。家にある使わなくなったものや木くず、トイレットペーパーの芯などを使って立体作品を制作。出来上がった作品(参加者全員の作品)は、ギャラリーに持ち込み、Delponteさんの作品の傍に展示しました。 思いつくがままに作った「太鼓を叩く人」。

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2018年8月 8日 (水)

われらの地平線 ちいさきものはみないとし 未来展

第7回 われらの地平線 ―いま・新たなる二紀展からの発信―
日本橋三越美術画廊 終了
 本展とは趣の異なる、二紀の中堅から若手たちによる同展は、今回で七回目。遠藤彰子の《音楽》は、ステージで演じる玉乗りするピエロに、飲食しながらも観客たちの視線は集中する。遠藤の特異な絵画構成は、鑑賞者も楽しませる。ピエロに向かってボールを投げる、ステージ脇カーテンに映る二人の影は何だろう。中村智恵美の《Roses in the morning sun》は、ボリューム感のある薔薇から香が立ち上がる。透明な花瓶に差し込まれた薔薇の根に纏いつく気泡の清々しさ。

 

ちいさきものは みないとし-現代コンパニオンアニマルズー
日本橋高島屋画廊 終了
 開催挨拶文によると、国内では、犬が892万頭、猫が953万頭飼育され、15歳未満の子供の人口を大幅に上回っているとのデータがあるそうです。また少子高齢化社会において、「コンパニオンアニマル」としての存在感が高まり、家族の一員であり、時には我が子同然、それ以上に愛情が注がれる対象となっていることの表れと綴っている。
 「鳥獣人物戯画」ではユーモラスに、浮世絵では市井の人々とともに生きる動物たちの姿が描かれ、近現代の日本の画家も愛玩の対象をモチーフに名画を数多く残してきた。日本画・洋画・工芸・彫刻の多ジャンルにわたり、大人から子供まで楽しめるものとして、さまざまな動物が“生きいき”と表現された作品群、とりわけ動物の生態、飼育者と関わりあう情景や、擬人化されたユーモアなども取り混ぜ、一堂に展覧。
 気になった作品は、富田菜摘のブリキ缶などで作ったパグ犬と田島周吾の《猫々遊戯図》。

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富田菜摘

Tajimashugo
田島周吾

第5回未来展 美大競演
日動画廊(東京・銀座) 8/9まで
 美大などの8校の教員などから推薦を受けた、30歳以下の学部生、卒業生、院生、助手の作品コンペ。人気投票も会場でできる。私は〇〇さんに投票しました。

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2018年8月 5日 (日)

Queermuseum: Cartographies of Difference in Brazilian Art

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View of the first presentation of Queermuseum in Porto Alegre, 2017. Photo: Fernando Zago 

Queermuseum: Cartographies of Difference in Brazilian Art

Exhibition reopens after censorship
August 18–September 16, 2018

Escola de Artes Visuais do Parque Lage
Rio de Janeiro, Brazil

 2017年9月に、極右と原理主義者の団体から圧力を受け、中止されたこの展覧会の再オープン。

 クラウドファンディングで最も成功を収めたこの展覧会は、広範なブラジル社会から支持を受けながら、かつてブラジルが独裁政権以後経験してきた検閲に歯向かい、言論の自由を制限するたくらみとの闘いを示している。

 この展覧会は、今までの典型的なキュレーションを考え直し、世界とは中心が外れた(queer)展覧会のプラットフォームであることを特に考えた。さらにコンセプチュアルで非本質的なアプローチを突き進め、作品表現に基づいた説明的な展示を避けている。 

 様々な領域からのブラジル人美術家85名の作品264点を展示。

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