維新の洋画家 川村清雄
川村清雄《建国》(部分) 昭和4年(1929) 絹本油彩 オルセー美術館蔵
©RMN (Musee d'Orsay)/Jean Schormans/distributed by AMF
近代日本美術の知られざる先駆者・川村清雄(かわむら きよお)〔嘉永5年(1852)~昭和9年(1934)〕 は、近年とみに評価が高まっている幻の洋画家。
旗本の家に生まれ、明治維新からまもない時期に渡欧し本格的に油絵を学んだ最初期の画家だったが、当時の洋画壇から離れて独自の画業を貫いたため、長らく忘れられた存在となっていた。しかし彼が生涯をかけて追究した日本人独自の油絵世界は、今急速に見直されてきている。
本展は、清雄の最大の庇護者であった勝海舟に捧げられた《形見の直垂(ひたたれ)(虫干)》(東京国立博物館蔵)をはじめとする絵画の代表作や初公開作品を含む約100点の絵画が一堂に会する最大規模の回顧展となる。
フランスへ渡った晩年の傑作《建国》(オルセー美術館蔵)が初めて日本に里帰りする。昭和4年(1929)にパリ・リュクサンブール美術館に納められたこの作品は、《振天府(しんてんふ)》(聖徳記念絵画館蔵)とならび清雄の画業の集大成となった作品であるが、日仏ともにこれまで展覧会場で公開されることはなかった。本展はこの秘蔵の傑作を目にすることができるまたとない機会となる。さらに、清雄が絵画の理想としたヴェネツィア派最後の巨匠ティエポロの名画《聖ガエタヌスに現れる聖家族》(ヴェネツィア・アッカデミア美術館蔵)が、ヴェネツィアから来日する。
また本展では、清雄が守り伝えてきた幕臣川村家資料を中心とした歴史資料約100点を集結し、幕末から明治・大正・昭和へと続く激動の近代を生きた清雄の人生を、彼を支えた徳川家達(いえさと)や勝海舟など人物交流のエピソードを織り交ぜて立体的に描き出す。
《維新の画家 川村清雄》
会期 2012年10月8日(月・祝)~12月2日(日)
会期中、展示替えあり
会場 江戸東京博物館 1階展示室 (東京都墨田区横網1-4-1)
電話番号:03-3626-9974(代表)
開館時間 午前9時30分~午後5時30分 (土曜日は午後7時30分まで)
*入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日(ただし10月8日(月・祝)は開館)、10月9日(火)
観覧料 一般 1,300円
主催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、読売新聞社
後援 イタリア大使館、フランス大使館、明治美術学会
協力 日本航空
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