2001年のアルゼンチンの通貨危機が文化交流に影響
国と国との間で行われる美術品の貸し借りは文化交流の意義を持っている。しかし、2001年に起きたアルゼンチンでの通貨危機が、美術品の貸し借りに影響を与えている。
The Wall Street Journal(2009年2月27日付けデジタル版/署名記事Michael Casey)によると、2010年開催のフランクフルトブックフェアの招待国として予定されているアルゼンチンは、同国の芸術遺産の展示を同ブックフェア主催者から求められている。しかし、アルゼンチン国立美術館は、重要な美術作品の国外展示について、保留の態度を示している。
というのも、ドイツの公債保有者からアルゼンチンの対外債務弁済として、その美術品が差し押さえられるのではないかと懸念している。2001年のアルゼンチンによる対外債務不履行宣言を巡って、300億ドルの債券を不履行にされた債権者たちとの法廷闘争が続いている。
係争当事者となっている債権者から国有財産を差し押さえられないように国外の美術品貸し出しをアルゼンチンは禁じているため、同国の国立美術品コレクションの管理者は、ドイツのキュレーターの要望には応じられないという。
「債券保有者に差し押さえられてしまう危険があるので、国有財産とみなされている美術品は、海外への貸し出しは許されていない」と国立美術館のストラテジック・アドミニストレーション部門のMaria Antonia Bychowiecは述べている。
フランクフルトブックフェアからの展示要請にたいして、アルゼンチン外務省からのコメントは出ていない。
2005年にアルゼンチンから出された、大幅な削減を前提とした債務再編オファーの過酷な条件を拒否した債権者たちは、裁判所認可の申し立てを執行しようと様々なアルゼンチン政府の財産を法的に差し押さえしようとした。
2001年12月のアルゼンチンの債務不履行によって損害を蒙った民間投資家たちの数は、世界中で数十万人いる。そのなかで、ドイツの民間投資家たちの申し立て額は、2005年の債務再編時点で60億ドルに上る。.
アルゼンチンが外国金融市場に戻ろうと自らの債務を巡る問題の処理を望んでいるにしても、そのためには、デフォルト債務問題の解決が前提条件となる。
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