フリーダ・カーロを写した写真 展覧会終了後に売却
The Art Newpaper(米国2008年7月8日付け)によると、フリーダ・カーロを被写体にした写真が、5年にわたる巡回展の終了の後、売却されるという。
米国とヨーロッパの美術館を5年間にわたって巡回したフリーダ・カーロ写真コレクション展示は、「Frida Kahlo and the Mexican Renaissance」展の開催館であるThrockmorton Fine Art(ニューヨーク)を最後に2008年9月6日でもって終了する。
フリーダを撮影した約40点の写真展「Frida Kahlo: Portrait of an Icon」は、2003年サンディエゴのMuseum of Photogarphic Artを皮切りに、ロンドンのNational Portrait Gallery、マドリッドのCasas de las Americasと次々と巡回してきた。最後の開催場所であるThrockmorton Fine Artは16番目となる。
この写真作品を所有するThrockmorton Art Fineは、巡回展での写真展示を企画し、各開催地において入場料収入を得ていた。Throckmorton Art FineのオーナーであるSepncer Throckmorton氏は、作品売却を目的とした巡回ではないと断言するとともに、1970年代にメキシコのカーロの家族から入手した数点の写真は手放したくはないと述べている。それらのなかに、カーロの父親Guillermoが1932年に撮影した写真1点が含まれている。被写体のフリーダの顔に後で描かれた涙があり、次のように書き込まれている。「悲しんでいるあなた友フリーダ・カーロより」。この写真は現在$150,000の値が付いている。
写真コレクションには、Manuel Alvarez Bravo、Lola Alvarez Bravo、Tina Modotti、そしてEdward Westonたちが撮影した作品や、フリーダ自身がコレクションした写真も含まれている。カーロと夫のディエゴ・リベラ、そして猿が写っている、しわの付いた写真もある。カーロはそれをいつもハンドバックに入れて持ち歩いていた。Spencer Trockmorton氏は、この写真はManuel Alvarez Bravoによる撮影と判断している。$25,000で売り出されている。Lola Alvarez Bravo撮影による、インディオ衣装を着て死の床に横たわるカーロの最期の姿の写真は、$7,500の値が付けられている。リベラのロックフェラーセンターの壁画制作のために1932年にリベラとともにニューヨーク市に来ていたカーロの姿をCarl Van Vechtenが撮影した写真は、$8,500である。
今回売却される写真は、カーロの自画像作品に比べれば高額ではない。カーロの体から根が生えている油彩作品「Roots」(1932年)は、2006年のサザビーズで560万ドルの落札値がついた。木のそばに立つカーロを撮影したLola Alvarez Bravoの写真作品は、$8,500で売り出されている。
好事家にとってはこれらの写真は関心が高いだろう。崇拝の的となっているカーロは、ラテンアメリカ美術やシュールレアリズムのコレクターから、フェミニスト、マドンナを含めた芸能人まで、幅広い層に魅力をもたらしている。
現在フリーダ・カーロの生誕100年を記念した回顧展は、San Francisco Museum of Modern Artにおいて9月28日まで開催されている。カーロの写真展示に二部屋が使われている。
【関連書籍】
Self Portrait in a Velvet Dress:
The Fashion of Frida Kahlo
Carlos Phillips Olmedo(Author), Denise Rosenzweig (Author), et al, Graciela Iturbide (Photographer), Pablo Aguinaco (Photographer)
2008 192ページ
Chronicle Books
5,090円 在庫あり(一冊のみ)
今まで注目されてこなかったフリーダ・カーロのドレス。今回初めて、新たに修復された衣装95点を、身に着けた姿と服が描かれた作品とともに、写真で紹介する。フリーダにとって生活とアートと切り離せないものであった。フリーダはファッションアイコンとして、長年注目の的となっている。
2008 400ページ
Editorial RM
6,900円 在庫あり(一冊のみ)
フリーダ・カーロ生誕百年記念の回顧展の図録
英語版
書籍のご注文はガレリアリブロ/洋才書魂まで
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