展覧会/Exhibition

2017年5月14日 (日)

Adiós Utopia: Dreams and Deceptions in Cuban Art Since 1950

Raulmartinezrosas_y_estrellas
Raúl Martínez, Rosas y Estrellas (Roses and Stars), 1972, oil on canvas, Patricia & Howard Farber Collection, New York. © Archivo Raúl Martínez

 本展は、社会的ユートピアに対するキューバの革命理想(それに続く幻滅)がどのようにキューバ美術の65年間を方向づけてきたかを通観する。50名を超えるキューバの美術作家とデザイナーの作品のなかから重要な100余点の作品(絵画、グラフィック・デザイン、写真、映像、インスタレーション、パフォーマンス)を展覧できる。

 20世紀、21世紀というキューバ史の重要な時代を軸にして、「Adiós Utopia」展は、ニューヨークのMoMAで1944年に開催された「Modern Cuban Painters」展以来、アメリカ合州国で今日まで紹介された近現代のキューバ美術を包括する重要な展覧会となる。

 数多くの美術作家たちがキューバから海外に仕事を求め移住した。本展では、キューバに留まった美術作家たちの語られることがなかった物語や、フィデル・カストロが率いた1959年の革命以後、美術作家たちが辿った道に焦点をあてる。

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

Adiós Utopia: Dreams and Deceptions in Cuban Art Since 1950

会場 The Museum of Fine Arts, Houston
    Houston, TX, USA
    https://www.mfah.org/

会期 2017年3月5日-5月21日

展覧会カタログ
Adiosutopiacatalogo

|

2017年5月13日 (土)

詩情の森-語りかたられる空間 THE POETRY

 KAAT神奈川芸術劇場(横浜市中区)は、数年前から、リハーサル室、ホワイエ、劇場内の小さな部屋を使って、美術作品の展示活動を行ってきた。『突然ミュージアム』と称されるこの展示活動をより発展させた«KAAT EXH|IBITION»が本年度から始まっている。本来美術空間に展示される作品を、敢えて劇場空間に持ち込み、作品世界の広がりを追及する試みだ。

 ≪KAAT EXHIBITION≫の第一弾として開催されている『詩情の森-語りかたられる空間』は、角文平(彫刻)、金子富之(日本画)、田中望(日本画)、藤堂(彫刻)、長沢明(日本画)、三瀬夏之介(日本画)の6人の作家たちが、これまでの活動の枠組みを超えた実験的なアプローチを試みている。

 本展に合わせて開催される「オープンシアター2017」は、彫刻、映画、写真、漆芸の現代美術作家と作品が劇場のあらゆる場所に出現し、劇場といかに関係するかという実験が試みられる。(イベントの詳細は下記の特設ウェブサイトまで)

詩情の森-語りかたられる空間
角文平 金子富之 田中望 藤堂 長沢明 三瀬夏之介

会場 KAAT神奈川芸術劇場 3F中スタジオ
    神奈川県横浜市中区山下町281
    ℡ 045-633-6500(代表)

会期 2017年4月30(日)-5月28(日) 会期中無休
    10:00-18:00(入場は閉場の30分前まで)

入場料 一般600円 学生・65歳以上500円 高校生以下無料
※障害者手帳所持者と付き添い1名は無料
※10名以上の団体は100円引き

特設ウェブサイト http://kaat-seasons.com/exhibition2017/

主催 KAAT神奈川芸術劇場
支援 平成29年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業
助成 一般財団法人地域創造
後援 神奈川県教育委員会、横浜市教育委員会
協力 ART FRONT GALLERY、IMURA ART GALLERY、MIZUMA ART GALLERY
    多摩美術大学、東北芸術工科大学、NHK横浜放送局

Thepoetry20170429_1s

Thepoetry20170429_2s

|

2017年5月 8日 (月)

特別展 茶の湯 Chanoyu-The Art of Tea Ceremony, The Essence of Japan

Tohaku_chanoyu_2017_2

名碗オールスターズ!」
天下の武将や茶人たちが手にした国宝級の名碗などが一堂に会する

 東京国立博物館の本館北側の庭園には、九条館、応挙館、六窓庵、転合庵、春草廬の5棟の茶室がある。いずれも各地から移築された由緒ある庵と建築物。これらの茶室を抱える東京国立博物館では、1980年の「茶の美術」展以来の大規模な展覧会となる「特別展 茶の湯」が6月4日まで開催されている。

 中国との活発な往来から、日本人に茶を喫する風習が広まった。茶道具はその風習とともに発達する。茶の湯は、天下人から大名、町衆まで広がり、興隆の礎が築かれた。本展は、茶の湯の歴史の展開を五章に分けて観ることができる。

 12世紀の頃、中国からもたされた抹茶の新しい喫茶法が、上流階級の間に広まった。室町時代になると、権力者たちは、舶来の美術品「唐物」を集めたり飾ったりすることで、権威を示した。「第一章 足利将軍家の茶湯―唐物荘厳と唐物数寄」では、足利将軍家のコレクション「東山御物」を中心として、唐絵、唐物の名品を紹介する。

11m
国宝 油滴天目【中国・建窯 南宋時代・12 ~ 13 世紀】 大阪市立東洋陶磁美術館蔵

2_1m
重要文化財 青磁輪花茶碗 銘 馬蝗絆【中国・龍泉窯 南宋時代・12 ~ 13 世紀】 東京国立博物館蔵

1m_3 91m
国宝 紅白芙蓉図
【李迪筆 中国 南宋時代・慶元3 年(1197) 】 東京国立博物館蔵(展示期間:5 月23 日~ 6 月4 日)

 斜陽を迎えた室町幕府の新たな文化の担い手となる町衆が急速に力をつけ、茶の湯を嗜む人々の層が拡大する。第一級の「唐物」ばかりでなく、日常の暮らしのなかから自ら心と眼にかなうものを見出し、取り合わせる「数寄」の茶、いわゆる「侘茶」が生まれる。「第二章 侘茶の誕生―心にかなうもの」は、「唐物」から「高麗物」「和物」へと茶道具に対する価値観の変遷をたどり、侘茶の美術を展覧する。

1m_4
重要文化財 灰被天目 銘 虹【中国 元~明時代・14 ~ 15 世紀】 文化庁蔵

 千利休(1522-91)によって侘茶が大成され、茶の湯は天下人から大名、町衆へと、より広く深く浸透する。利休にまつわる道具を、「利休がとりあげたもの」と「創造したもの」という二つの視点から紹介する「第三章 侘茶の大成―千利休とその時代」。利休の高弟の古田織部(1544-1625)の茶室「燕庵」が再現展示されている。

S_2
重要文化財 黒楽茶碗 銘 ムキ栗【長次郎 安土桃山時代・16世紀】 文化庁蔵

6_1m
国宝 志野茶碗 銘 卯花墻【美濃 安土桃山〜江戸時代・16 ~ 17 世紀】 東京・三井記念美術館蔵

 江戸時代、茶の湯は変化の時代を迎える。足利将軍以来の武家の茶を復興しようとする動き、利休の精神を継承して家元を確立する動き、公家の雅な世界を取り入れて新しい茶風を創ろうとする動きが生まれ、それら相互に影響を及ぼしあう。「第四章 古典復興―小堀遠州と松平不昧の茶」では、武家の茶を復興した小堀遠州(1579-1647)にまつわる道具を中心に、江戸時代前半の茶の湯を展覧するほか、江戸後期に茶の湯の再編、再興につとめた松江藩松平不昧(1751-1818)にまつわる道具、三井家や鴻池家、関戸家などの豪商が所蔵した名品を紹介している。

1m_7
古銅象耳花入 銘 キネナリ【中国 明時代・14 ~ 15 世紀】 東京・泉屋博古館分館蔵

_3ms
重要文化財 粉引茶碗 三好粉引【朝鮮 朝鮮時代・16 世紀】 東京・三井記念美術館蔵

 幕末から明治時代にかけて、寺院や旧家から、宝物や茶湯道具が一斉に世の中に流出する混乱のなかで、平瀬露香(1839-1908)、藤田香雪(1841-1912)、益田鈍翁(1848-1938)、原三溪(1868-1939)らの実業家たちは財力と独自の眼をもって、茶湯道具を蒐集し、一大コレクションを築き上げる。「第五章 新たな創造―近代数寄者の眼」は、畠山即翁(1881-1971)を加えた五人の数寄者(趣味人)のコレクションからそれぞれ代表する名品を展覧し、改めて日本文化の真髄ともいうべき茶の湯の魅力についてふれている。

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

特別展 茶の湯
Chanoyu-The Art of Tea Ceremony, The Essence of Japan

東京国立博物館 平成館
東京都台東区上野公園13-9

2017年4月11日(火)-6月4日4(日)
休館日 月曜日
開館時間 午前9時30分-午後5時
※金曜・土曜は午後9時まで、日曜は午後6時まで。
※入館は閉館の30分前まで。

観覧料 一般1600円 大学生1200円 高校生900円
※団体割引料金あり(20名以上)。
※中学生以下は観覧料無料。
※障がい者とその介護者1名は無料(入館の際障がい者手帳提示)。
※ほかにも割引チケットあり。詳細は展覧会公式サイトまで。

展覧会公式サイト http://chanoyu2017.jp
問い合わせ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)

主催 東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション、毎日新聞社
特別協力 表千家不審菴、裏千家今日庵、武者小路千家官休庵、薮内燕庵、遠州茶道宗家、江戸千家宗家蓮華庵、江戸千家、大日本茶道学会、茶道宗徧流不審庵
協賛 伊藤園、トヨタ自動車、日本写真印刷、三井住友海上火災保険、三井物産

特別展「茶の湯」図録
Chanoyucatalogue
A4判変形 432頁 2800円(税込)
論考5本、コラム10本で、最新の茶の湯研究を紹介。
展覧会特設ショップにて販売中。

Museumhsop1 Museumshop2 Museumshop3
展覧会特設ショップで販売されている「茶の湯」関連商品

|

2017年5月 6日 (土)

リアルのゆくえ-高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの

 移入されて150年を経た写実が、どのように変化し、また変化しなかったのか、日本独自の写実とは何かを、高橋由一、岸田劉生等の作品、現代の写実作家の細密描写による作品により検証し、絵画における写実のゆくえを追う。
 
Photo
岸田劉生《麗子肖像( 麗子五歳之像)》、1918 年、油彩・キャンバス、東京国立近代美術館
 
Photo_2
長谷川潾二郎《猫》、1966 年、油彩・キャンバス、宮城県美術館
 
 
:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+
 
 
リアル(写実)のゆくえ
高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの

平塚市美術館
神奈川県平塚市西八幡1-3-3
電話 0463-35-2111

2017年4月15日(土) -6月11日(日)
開館時間 9:30 -17:00(入場は16:30 まで)
休館日     月曜日
観覧料金  一般800円 高大生500円
       ※団体料金(20名以上)あり
       ※中学生以下、毎週土曜日の高校生は無料
       ※各種障がい者手帳の所持者と付添1 名は無料
       ※ほかにも割引制度あり 詳細は美術館ホームページまで   

主催         平塚市美術館
制作協力  NHKプラネット中部
協賛         神奈川中央交通株式会社

|

2017年4月19日 (水)

茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術 THE COSMOS IN A TEA BOWL TRANSMITTING A SECRET ART ACROSS GENERATIONS OF THE RAKU FAMILY

 今から450年前に初代長次郎が創造した樂茶碗は、一子相伝の形態で、今日の十五代樂吉左衞門まで受け継がれてきた。千利休が使った茶碗を含め、初代長次郎から十五代までの名品を展示する企画展「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」が、東京国立近代美術館(東京・竹橋)において、5月21日まで開催されている。狭小な茶室で繰り広げられる、茶を点てる亭主とお点前をいただく客のそれぞれの思いを、茶碗の中に広がる宇宙から感じみてはどうだろうか。

 長次郎の茶碗制作に先立つ作品«二彩獅子»が展示の最初を飾る。千利休が関わる長次郎茶碗を七碗集めた「利休七種」の筆頭となる茶碗«大黒»。利休のそばに常に置かれていたという«禿»、利休から依頼を受け制作した素朴な作振りの«太郎坊»、底部に利休の花押が残る«シコロヒキ»などの長次郎茶碗が続く。

Photo
初代 長次郎 二彩獅子 重要文化財 天正2年(1574) 樂美術館蔵

Photo_3
初代 長次郎 黒樂茶碗 銘 大黒 重要文化財 桃山時代(十六世紀) 個人蔵

Photo_4
初代 長次郎 黒樂茶碗 銘 禿 桃山時代(十六世紀) 表千家不審菴蔵

Photo_5
初代 長次郎 赤樂茶碗 銘 太郎坊 需要文化財 桃山時代(十六世紀) 裏千家今日庵蔵

 木阿弥光悦と親交が深かった三代道入の«青山»は、釉薬の流れの偶然性が関与する独特な意匠を表現している。書家、漆芸家として多才な木阿弥光悦は陶芸にも携わった。光悦茶碗は、二代常慶、道入親子によって樂家の窯で焼かれている。«乙御前»は光悦の赤樂茶碗の代表作。

Photo_6
三代 道入 黒樂茶碗 銘 青山 重要文化財 江戸時代(十七世紀) 樂美術館蔵

Photo_7
本阿弥光悦 赤樂茶碗 銘 乙御前 重要文化財 江戸時代(十七世紀) 個人蔵

 第2次世界大戦に従軍し、戦後復員した十四代覚入は、樂家を建て直し、楽焼の普及や保持のため、「財団法人樂美術館」を開館する。覚入の赤樂茶碗«杉木立»はモダンな意匠を持ち、現代絵画的な作品となっている。

Photo_8
十四代 覚入 赤樂茶碗 銘 杉木立 昭和47年(1972) 個人蔵

 本展の展示は、初代長次郎から次代を受け継ぐ形で作品が紹介されている。最後は現在の十五代吉左衞門の作品群で締めくくられる。次期十六代篤人の作品も楽しめる。

_
十五代 吉左衞門 焼貫黒樂茶碗 銘 涔雲は風を涵して谷間を巡る 悠々雲は濃藍の洸気を集めて浮上し 平成15年(2003) 樂美術館蔵

__2
十五代 吉左衞門 焼貫黒樂茶碗 銘 暘谷 平成元年(1989) 個人蔵

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術 
THE COSMOS IN A TEA BOWL TRANSMITTING A SECRET
ART ACROSS GENERATIONS OF THE RAKU FAMILY

東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
東京都千代田区北の丸公園3-1

2017年3月14日(火)-5月21日(日)
10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで

休館日 月曜(5/1は開館)

観覧料 一般1,400円/大学生1,000円/高校生500円
※20名以上の団体料金あり
※中学生以下、障害者手帳の所持者とその付添者1名は無料
(入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等を提示)

展覧会公式ホームページ http://raku2016-17.jp/

主催 東京国立近代美術館、京都国立近代美術館
    NHK、NHKプロモーション、日本経済新聞社
協賛 日本写真印刷
特別協力 樂美術館、国際交流基金
協力 あいおいニッセイ同和損保

※東京国立博物館(東京・上野)で開催中の特別展「茶の湯」とのコラボ企画として、4月11日~5月21日の開館中に限り、東京国立近代美術館と東京国立博物館の間で、無料シャトルバスが運行されている。乗車には、展覧会チケットの提示が必要。詳細は、展覧会公式ホームページで。

展覧会カタログ
Raku_ten_tokyo_catalogue_2017
執筆:松原龍一、樂篤人、樂吉左衞門、樂美術館、小倉実子
発行:NHKプロモーション
2016年 255頁 2,300円 
ミュージアムショップにて販売中

|

2017年4月 7日 (金)

夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史 総集編 Dawn of Japanese Photography: The Anthology

1
田本研造《箱館市中取締 裁判局頭取 土方歳三》(部分)
ゼラチン・シルバー・プリント(後年のプリント) 
明治2年 函館市中央図書館
(展示期間:4月25日- 5月7日、他期間はレプリカ展示)


 東京都写真美術館が2007年から4回にわたって開催してきた「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史」展シリーズを締めくくる展覧会が、展示替えを行いながら、5月7日まで同館で開催されている。「であい」「まなび」「ひろがり」の三部に分けた展示構成で、日本の写真開拓史を追うことができる。

 長崎の御用時計師で商人である上野俊之丞が、ダゲレオタイプの写真器材一式の輸入を試み失敗した1843年(天保14)から、11年後の1854年(安政元)にペリー率いる米国海軍東インド艦隊に同行したエリファレット・ブラウン・ジュニアは、日本の地で日本人のダゲレオタイプ撮影を行っている。「であい」では、エリファレット・ブラウン・ジュニアやナダールなどの写真作品のほかに、ブラウンの写真が石版画に描き起こされた挿絵が掲載されている『ペリー日本遠征記』の展示もある。

3_s
エリファレット・ブラウン・ジュニア
《田中光儀像》安政元年 ダゲレオタイプ 個人蔵

 「まなび」は、1859年(安政6)に開港された横浜、神戸、箱館などの外国人居留地に訪れた多くの外国人写真師から学んだ日本人写真師たちの作品を紹介する。日本の写真研究は藩が中心になって行われた。藩主島津斉彬の肖像写真で広く知られている島津藩。遣米、遣欧の洋行で写真研究を行った川崎道民は佐賀藩士である。関政民は南部藩の洋楽研究の一環で写真の研究を行っている。外国人写真師から学び、営業写真館を開設した日本人写真師には、横浜の下岡蓮杖、長崎の上野彦馬がいる。ほかに、横山松三郎、鈴木真一、内田九一、木津幸吉、田本研造たちの肖像写真、名所写真などが並ぶ。

5_s
上野彦馬 題不詳(上野八重子像)明治35年頃 ゼラチン・シルバー・プリント
長崎歴史文化博物館(展示期間:3月7日- 4月9日)

6_s
鈴木真一《(子供の武将)》明治時代中期 鶏卵紙に手彩色 後藤新平記念館


 写真が外国人写真師から日本の第一世代に伝わり、そして次世代へと引き継がれ、各地に「ひろがり」をみせるとともに、「日本の写真」が個人的なものから社会的なものへと拡がる。

 2007年から開始した本シリーズ展の開催間に東日本大震災が発生した。会場展示の最後には、自然の猛威を雄弁に語りかける19世紀の天災記録写真も展示されている。

4_4
制作者不明 《飛鳥神社矢大臣門崩壊之真景》 明治27年 鶏卵紙 本間美術館

 本シリーズ展が開催される前に、日本全国の公開機関を持つ施設7,987カ所が所蔵する初期写真作品や資料についてのアンケート調査が行われ、散逸していた日本の初期写真の体系化が進んだ。

2_s
(山内家写場)《(松平忠礼の妻、豊子)》明治初期(1868-82)頃 
アンブロタイプ 東京都写真美術館蔵

 

7_s
フェリーチェ・ベアト《愛宕山から見た江戸のパノラマ》 文久3-元治元(1863-64)年頃 鶏卵紙5枚構成 東京都写真美術館蔵
※2階ロビーに設けられた撮影コーナーで、フェリーチェ・ベアト《愛宕山から見た江戸のパノラマ》を拡大したパノラマ作品を撮影できる。

 

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

総合開館20周年記念
夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史 総集編
Dawn of Japanese Photography: The Anthology

2017年3月7日(火)-5月7日(日)

東京都写真美術館
TOKYO PHOTOGRAPHIC ART MUSEUM

〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3
恵比寿ガーデンプレイス内
TEL 03-3280-0099
ホームページ http://topmuseum.jp/

休館日 毎週月曜日(ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌平日休館)
      ただし5月1日(月)は開館
料金 一般 700)円/学生 600円/中高生・65歳以上 500円
※20名以上団体割引あり
※小学生以下、都内在住・在学の中学生および障害者手帳を所持者とその介護者は無料
※第3水曜日は65歳以上無料

主催 東京都 東京都写真美術館/読売新聞社/美術館連絡協議会
協賛 ライオン/大日本印刷/損保ジャパン日本興亜/日本テレビ放送網
協力 日本大学藝術学部/一般財団法人日本カメラ財団

※会期中、一部作品およびアルバムページの展示替あり
第一期 3月7日(火)~3月20日(月・祝)
第二期 3月22日(水)~4月9日(日)
第三期 4月11日(火)~4月23日(日)
第四期 4月25日(火)~5月7日(日)

展覧会図録『知られざる日本写真開拓史』
Catalogue_unkonwn_history

写真の歴史を知る上で欠かすことのできない貴重な史料を数多く収録。
英語版リーフレット付
高橋則英、ルーク・ガートラン、谷昭佳、福原義春、三井圭司による執筆
東京都写真美術館編集/山川出版社発行
菊版 295頁 2,160円(税込)
ミュージアームショップで販売中

同時開催展
山崎博 計画と偶然
2017年3月7日-5月10日
東京都写真美術館 2階展示室

写真・映像を「時間と光」というエッセンスによって捉え、1980年代末より活躍してきた山崎博(1946-)の仕事をたどる。美術館では初の展覧会。

|

2017年3月15日 (水)

草間彌生 わが永遠の魂  YAYOI KUSAMA: My Eternal Soul

11_s
草間彌生©YAYOI KUSAMA

 前衛芸術家で小説家でもある草間彌生(1929年長野県松本市生まれ)の2000年以降の近作と、創作初期から60年近い歩みを紹介する過去最大級の個展「草間彌生 わが永遠の魂」が、国立新美術館(東京・六本木)で、5月22日まで開催されている。

 本展全体は大きく二分され、最初に踏み入れた第1部の広いスペースから、隙間なく壁面に展示された色鮮やかな大画面の作品群が目に飛び込んでくる。

20170221s_2 20170221_3

 草間は、これらの大画面の絵画連作「わが永遠の魂」を2009年から描きはじめる。二メートル四方近いサイズもある作品を、平日の二日から三日で1作のペースで、本展開催までに520作を完成させた。今展にその四分の一にあたる132点を出品している。また同じ展示スペースの中央には、7点の花の彫刻作品の展示もあり、現在の草間ワールドを堪能できる。

02_s_3
「わが永遠の魂」シリーズより≪しのびがたい愛の行方≫ 2014 ©YAYOI KUSAMA

I26__s
「わが永遠の魂」シリーズより≪私に愛を与えて≫ 2015 ©YAYOI KUSAMA

05_s
「わが永遠の魂シリーズ」より≪原爆の足跡≫ 2016 ©YAYOI KUSAMA


 1929年長野県松本市の種苗業を営む家で生まれた草間彌生は、松本高等女学校(現:長野県松本蟻ヶ崎高等学校)を卒業後、1948年京都市立美術工芸学校(現:京都市立銅駝美術工芸高等学校)の4年生最終課程に編入して日本画を学び、翌年卒業する。

 その後、タケミヤ画廊(東京)、求龍堂画廊(東京)などで個展を開催。アメリカで草間の作品が高く評価されたことがきっかけで、1957年渡米する。アメリカでは絵画ばかりでなく、オブジェ、インスタレーション、パフォーマンス、映画、小説などと幅広い創作活動を行っている。

 本展の第2部では、20世紀の草間の50年余りの活動を回顧する。後年の草間作品に一貫してみられる同一形状を繰り返す描写がある≪玉葱≫(1948年)や≪残夢≫(1949年)などの初期作品の展示から始まる。ニューヨーク時代(1957-1973年)に移ると、突起状の形態で覆われたソフト・スカルプチャアやパフォーマンス(ハプニング)など、性や食に対するオブセッション(強迫観念)を主題にした先駆的な作品群が続く。

06_t
≪トラヴェリング・ライフ≫ 1964 ©YAYOI KUSAMA 京都国立近代美術館蔵 撮影:上野則宏

09s_2
≪生命の輝きに満ちて≫ 2011 Courtesy of Ota Fine Arts, Tokyo/Singapore; Victoria Miro Gallery, London: David Zwirner, New York ©YAYOI KUSAMA

 体調を崩して1973年に帰国した草間は、入院生活を送りながら活動を再開する。1990年代までの作品を見終えると、再び「わが永遠の魂」の作品群が並ぶ展示室に戻って、展覧は締めくくられる。

≪草間彌生から世界のみなさんへメッセージ≫
Word_by_yayoi_kusama_2017

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

国立新美術館開館10周年
草間彌生 わが永遠の魂
YAYOI KUSAMA: My Eternal Soul

会期 2017年2月22日(水)- 5月22日(月)
休館日 毎週火曜日 ※5月2日(火)は開館
開館時間 10:00 - 18:00 金曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
       ※4月29日(土)-5月7日(日)は毎日20:00まで開館
会場 国立新美術館 企画展示室1E
    〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
主催 国立新美術館、朝日新聞社、テレビ朝日
協賛 鹿島建設、岡村印刷工業
協力 草間彌生スタジオ、パナソニック、TOKYO FM
問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式ホームページ http://kusama2017.jp/

公式カタログ
Kusama_yayoi_catalogue_2
草間彌生による詩や、貴重な写真も多数掲載。
作家紹介、詳細な年譜などの資料も充実。
2,800円(税込) 300ページ、A4変形
ミュージアムショップで販売中。

|

2017年3月 4日 (土)

Identities in Transit : Portuguese Women Artists since 1950

2017-01-portuguese-women-artiststay
Identities in Transit : Portuguese Women Artists since 1950
遷移するアイデンティティ:1950年以降のポルトガル女性アーティストたち
Wadham College & Taylor Institution LIbrary, Oxford, ENGLAND
Exhibition: Taylor Institution Library, 10-24 March 2017
Opening times: Mon-Fri, 9:00-18:30; Sat, 10:00-15:00
Workshop: Wadham College, 16-18 March, 2017 (NB: This is an invitation-only event)

Focusing on the transnational in the life and works of Paula Rego, Ana Hatherly, Lourdes Castro, Maria Velho da Costa and Menez.

|

2017年2月18日 (土)

1950年代の日本美術-戦後の出発点 Japanese Art at the 1950s: Starting Point after the War

鎌倉・鶴岡八幡宮の境内にあって、「鎌近」の愛称で親しまれていた神奈川県立近代美術館 鎌倉は、昨年3月31日で美術館としての活動を終了した。1951年11月17日に、日本初の公立美術館として開館した神奈川県立近代美術館は、第1回記念展として「セザンヌ、ルノワール展」(会期11月18日-30日)を開催する。その後、同美術館は、佐伯祐三、古賀春江、松本竣介など近代日本美術における重要な画家たちをいち早く紹介している。

  現在、神奈川県立近代美術館 葉山では、「鎌近」が1951年に開館した頃の日本美術を紹介する展覧会「1950年代の日本美術-戦後の出発点」が、3月26日まで開催されている。

1950年代の日本美術 戦後の出発点 
Japanese Art at the 1950s: Starting Point after the War

会期 2017年1月28日(土)-3月26日(日)
    休館日 月曜日(3月20日は開館)
会場 神奈川県立近代美術館 葉山
    神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1
    電話:046-875-2800(代表)
    ホームページ:http://www.moma.pref.kanagawa.jp
開館時間 午前9時30分-午後5時(入館は4時30分まで)
観覧料 一般1,200円 20歳未満・学生1,050円
      65歳以上600円 高校生100円
      ※団体料金あり。
      ※中学生以下と障害者手帳所有者(および介助者原則1名)は無料。
      ※上記観覧料で同時開催中の「コレクション展3:反映の宇宙」も観覧できる。
      ※ほかにも割引制度あり。詳細については同美術館まで。
主催 神奈川県立近代美術館

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

  1951年にサンフランシスコ講和条約の締結があり、翌年の同条約発効により、日本占領が終結し、主権回復が認められた。1950年代は、まだ戦争の傷跡絶えぬ時代であるとともに、自由を謳歌できる時代の出発点であった。

  1950年代は、戦争体験を背負って葛藤する画家たちがいると同時に、イデオロギーの対立に翻弄されることなく活動を行い独自の世界をつくり出す画家たちがでてきた時代でもあった。

  本展は五つの章から構成されている。第I章「新しい絵画精神のために」では、戦中にすでに中堅として活躍していた岡本太郎、海老原喜之助、村井正誠、山口長男、朝井閑右衛門などの画家たちが、敗戦の失意と復興の希望とを抱きながら、どのように再スタートを切ったかをたどる。

  神奈川県立近代美術館の開館記念として開催された「セザンヌ、ルノワール展」のポスターが展示されている第II章「鎌倉近代美術館の誕生」
  土方定一、今泉篤男、河北倫明、瀧口修造ら日本美術家連盟の14人によって選出された若手作家たちを紹介した「今日の新人・1955年展」のポスターには、向井良吉の《アフリカの木》(1955年)が使われている。同展の選出作家32人には、向井以外に毛利武士郎、山口勝弘、福島秀子、田中岑、池田龍雄、浜田知明がいる。いずれも本展に出品されている作家たちである。ほかに、堀内正和《線A》(1954年)、辻晉堂《迷盲》(1957年)、木内克《手のあるトルソー》(1958年)、斎藤義重《鬼》(1957年)などの神奈川県立近代美術館の所蔵品が揃う。

10__19551955
「今日の新人1955年展」ポスター 1955年 神奈川県立近代美術館蔵

9__1957_2
田中岑≪女の一生≫1957年 神奈川県立近代美術館蔵
(「鎌近」の喫茶室に制作した壁画作品。現在、葉山館の講堂前ホワイエに移設されている。)

 戦後、金山康喜、田淵安一、野見山暁治、岡本半三、浜口陽三、今井俊満らが、「美術の都パリ」に向かう。第III章「国際化と1950年代パリの日本人画家」では、金山康喜《静物(コーヒーポットのある静物)》(1954年)、岡本半三《ラ・テュルビ》(1954年)、田淵安一《神の手》(1954年)、野見山暁治《ノルマンディの子ども》(1955年)などやパリ在住の海外作家たちによって結成された「コブラ」と交流した田淵安一や菅井汲の作品も展覧できる。

  鎌倉に神奈川県立近代美術館が開館する前日(1951年11月16日)に、新しい種類の芸術集団「実験工房」がデビューした。画家、写真家、照明家、映像作家など、様々な分野の若手芸術家たちから構成された集団を、詩人であり美術評論家の瀧口修造は、「実験工房」と命名した。3年後の1954年には、吉原治良がリーダーとして、若手美術家たちの「具体美術協会」が結成された。
  第IV章「新人の登場―「実験工房」と「具体」を中心に」では、「実験工房」から、北代省三≪モビール・オブジェ(回転する面による構成)≫(1953年)、山口勝弘(構成)・鈴木博義(音楽)オートスライド「試験飛行家W.S.氏の眼の冒険」(1953年/1986年)、松本俊夫(監督)・新理研映画『銀輪』(デジタル復元版・三色分解アナログ合成版)(1956年)など、そして「具体」からは、白髪一雄≪作品III≫(1954年)、具体美術協会≪舞台を使用する具体美術 第1回≫(1957年)などの展示がある。
  1956年に、東京・高島屋で開催された「世界・今日の美術展」で紹介されたアンフォルメルの画家たちのひとりであるジョルジュ・マチウが、日本で公開制作を行った。その時の作品≪豊臣秀吉≫(1957年)を吉原治良がもらいうけている。本展では、当時の公開制作の映像上映とともに、本作品を見ることができる。

8__1956_3
映画『銀輪』(監督:松本俊夫、制作:新理研映画)1956年 東京国立近代美術館フィルムセンター蔵

  サンフランシスコ講和条約が1952年に発効し、日本の主権は回復されたとはいえ、条約によって米軍の日本駐留は継続されていた。米ソ冷戦の始まりや朝鮮戦争勃発の社会的、政治的状況に対し、多くの美術家たちが反戦や平和、米軍基地への反対を訴えて立ち上がり、自らの制作の姿勢と行動でそれを示そうとした。
  第V章「社会へのまなざし」は、若手美術家たちの間で高まった反戦、反画壇の機運から、結成された団体や展覧会に参加した池田龍雄や山下菊ニらの作品を紹介する。池田は、米軍基地反対闘争を題材にした作品を経て、≪仮面≫(1959年)で人間の内面を描き出した。社会的事件の取材をもとにした「ルポルタージュ絵画」を描いた山下は、≪松川裁判(機関車は知っている挟まれた俺)≫(1959年)や≪あけぼの村物語≫(1953年)などを残している。浜田知明は、戦争の惨禍を振り返る版画シリーズ<初年兵哀歌>を、日系芸術家のイサム・ノグチと版画家の上野誠は、ヒロシマ、原爆をテーマに創作を行った。

7__1959_s
池田龍雄≪仮面≫1959年 横須賀美術館蔵

3__1954
浜田知明≪初年兵哀歌(歩哨)≫1954年 神奈川県立近代美術館蔵

  神奈川県立近代美術館の水沢勉館長は、展覧会カタログ掲載の小論「1950年代を再考する。」で、「日本のモダニズムの展開を実地にあたって検証する場として『近代美術館』は誕生している」と著し、同論の最後に、「芸術活動一般と美術館活動との関係性を歴史的な遠近法のなかに正確にとらえ直し、そのこと自体を情報化し、アーカイヴし、未来につないでゆく作業は、まさにいまはじめられたばかりである」と結んでいる。

  「1950年代の日本美術 戦後の出発点」展は、戦後の日本が歩んできた時代を、見る者にとっても心にとどめる(アーカイブする)展覧会となるだろう。

展覧会カタログ
図録表紙
1950年代の日本美術―戦後の出発点
25.9x19.4 cm 96ページ
神奈川県立近代美術館 2017年
1,750円(税込)
ミュージアム・ショップにて販売中

|

2017年1月 8日 (日)

Mujeres de Papel 紙の女性たち

 21ヶ国73名の折り紙作家によるオマージュ作品250点以上を集めた折り紙展「Mujeres de Papel(紙の女性たち」が、スペイン・サラゴサのEscuela Museo Origami Zaragozaで、3月12日まで開催中。

 Escuela Museo Origami Zaragozaは、2013年にヨーロッパで初めて折り紙をテーマとして開館したサラゴサ折り紙博物館。

Mujeres de Papel
Del 17 de diciembre de 2016 al 12 de marzo de 2017
Escuela Museo Origami Zaragoza (EMOZ)

Mujeresenpapelemoz201617

|

より以前の記事一覧