展覧会/Exhibition

2017年11月19日 (日)

「ディエゴ・リベラの時代-メキシコの夢とともに」展 埼玉県立近代美術館で開催中(12月10日まで)

Entrance


 メキシコの壁画運動は、1910年に勃発した革命達成後の文化創造運動として重要な意味を持っています。その運動の中心的存在であったディエゴ・リベラは「壁画の三巨匠」として知られています。ほかの二人は、ホセ・クレメンテ・オロスコ(1883-1949)、ダビッド・アルファロ・シケイロス(1896-1974)です。

 埼玉県立近代美術館で開催中の「ディエゴ・リベラの時代-メキシコの夢とともに」は、西洋の近代絵画様式からキュービズムに傾倒したディエゴ・リベラのヨーロッパ時代から、メキシコの壁画運動、野外美術学校、そしてメキシコの前衛へと、メキシコの近代美術の流れのなかで、ディエゴ・リベラを追います。

開館35周年記念展 ディエゴ・リベラの時代
DIEGO RIVERA AND HIS CONTEMPORARIES

会期 2017年10月21日 (土) - 12月10日 (日)
       10時-17時30分(展示室への入場は17時まで)
    休館日 月曜日
会場 埼玉県立近代美術館
    埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
    電話 048-824-0111
    美術館HP   http://www.pref.spec.ed.jp/momas/
観覧料 一般1200円、大高生960円
     ※20名以上の団体料金あり
     ※中学生以下と障害者手帳提示者は付添者1名を含めて無料
     詳細は美術館ホームページで

主催 埼玉県立近代美術館、メキシコ文化庁/メキシコ国立芸術院
    読売新聞社、美術館連絡協議会
後援 駐日メキシコ大使館

 メキシコの画家ディエゴ・リベラ(グアナフアト生まれ、1886-1957)は、10歳にしてサン・カルロス美術学校(メキシコ市)の夜間教室に通い、その後正規コースに編入し、モダニスト画家としての出発点となる風景画«農地»を制作しています。「第1章 プロローグ」では、サン・カルロス美術学校でリベラが師事したホセ・マリア・ベラスコの≪オリサバ山≫などのほかに、少年時代にその工房を訪ねたといわれているホセ・グアダルーペ・ポサダの作品群の展示があります。

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ディエゴ・リベラ《農地》1904年/ディエゴ・リベラ生家美術館蔵/Museo Casa Diego Rivera, Marte R. Gómez Collection, INBA, Guanajuato/© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.

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ホセ・マリア・ベラスコ《テオティワカンの太陽のピラミッド》1878年/メキシコ国立美術館蔵/Museo Nacional de Arte, INBA, Mexico City/Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.

 奨学金を得て、1907年スペインに渡ったはリベラはその後、フランス、ベルギー、イギリスなどを遍歴し、印象主義、象徴主義、新印象主義、点描主義などの表現を試みます。再びスペインにもどり、トレドでエル・グレコの研究に没頭します。同じ時期にリベラはキュービズムの影響を受けます。「第2章 ヨーロッパ時代のディエゴ・リベラ」では、ヨーロッパ時代のリベラの作品を紹介します。

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ディエゴ・リベラ《ブルターニュの少女》1910年//ディエゴ・リベラ生家美術館蔵/Museo Casa Diego Rivera, Marte R. Gómez Collection, INBA, Guanajuato/© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA  2017.


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ディエゴ・リベラ《銃を持つ水兵(昼食をとる船乗り)》1914年/ディエゴ・リベラ生家美術館蔵/Museo Casa Diego Rivera, Marte R. Gómez Collection, INBA, Guanajuato/© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTESY LITERATURA 2017.

 キュービズムの限界を感じてリベラが模索していた頃に、既存の美術史的な理論とは異なる思考を持っていたフランスの美術評論家エリー・フォールとの親交がありました。フォールの考えからリベラは壁画の構想を得ることになりました。その頃、パリのメキシコ大使館に駐在していた画家のダビッド・アルファロ・シケイロスと出会い、革命と芸術の一体化を図ろうとしていたシケイロスに対し、リベラは壁画の可能性を提案します。「第3章 壁画へ」では、リベラの壁画に関する写真や同時代の作品を取り上げると共に、シケイロスやホセ・クレメンテ・オロスコの作品もあわせて紹介します。

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ディエゴ・リベラ《とうもろこしをひく女》1924年/メキシコ国立美術館蔵/Museo Nacional de Arte, INBA, Mexico City/© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.

 美術を大衆のものにする実践的な実験となる野外美術学校のトラルパン校の助手に日本人画家の北川民次(1894-1989)が任命されたのは、1925年でした。この学校に小中学生や先住民の子供たちが数多く通うようになります。またメキシコの児童画を紹介する展覧会が1925 年に開催され、その翌年にはベルリン、パリ、マドリードなどに巡回し、メキ
シコの児童美術教育が世界的に注目されるようになりました。「第4 章 野外美術学校/美術教育/民衆芸術」では、北川民次の≪メキシコ水浴の図≫、野外美術学校運営の中心となったアルフレッド・ラモス・マルティネスの≪少女とアジサイの風景≫などのほか、刊行物『メキシカン・フォークウェイズ 特集:メキシコの小学生の絵画と素描』(1934年11月号)の展示があります。

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アブラーム・アンヘル《自画像》1923年/メキシコ国立美術館蔵/Museo Nacional de Arte, INBA, Mexico City/Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017

 メキシコには壁画運動のほかに重要な芸術運動があります。「第5章 メキシコの前衛—エストリデンティスモから¡ 3 0 - 3 0 ! へ」では、二つの前衛芸術の動きを取り上げています。ひとつは、前衛詩人マヌエル・マプレス・アルセがメキシコ市で1921年12月に発行したマニフェスト『アクトゥアル−前衛の新聞 第1号』が発端となって立ち上がったエストリデンティスモです。エストリデンテ(estridente)とは、「甲高い/きんきん響く/過激な」といった意味を持つ言葉です。マプレス・アルセからの保守的な文化・芸術の打破と刷新の呼びかけに、ディエゴ・リベラやイタリア出身の写真家のティナ・モドッティなどが参画しています。もうひとつは、1928 年に美術家によって形成されたグループの¡ 30 -30 !(トレイン
タ・トレインティスタス)です。革命期に広く使用されたライフル銃の弾丸の製品名をグループの名称に掲げた¡ 30 -30 ! は、北川民次を含めた野外美術学校の系譜に連なる美術家たちが中核メンバーでした。野外美術学校が継承してきた反アカデミー的な態度を軸に、1928 年に5 回にわたるマニフェストを発行し、賛同する美術家とともに展覧会を開催しています。本章では、雑誌、書籍の資料、ティナ・モドッティの≪アステカの赤子≫(前期のみ展示)、北川民次の≪タスコの裸婦≫などが紹介されています。

 ヨーロッパ滞在中、リベラは様々な国から来た美術家たちと交流しています。そのなかに、川島理一郎(1886-1971)とレオナール・フジタこと藤田嗣治(1886-1968)がいます。ギリシャ風の衣装を纏って暮らしていたこの二人を見て、リベラは、キュビスム絵画の題材に相応しいと悟り、川島とフジタをモデルにして、1914 年に《川島とフジタの肖像(キュビスム風の)》を制作しています。一方でフジタはリベラの肖像を描いた素描を残しています。エコール・ド・パリの画家としてパリで成功を収めたフジタは、1931年10月から中南米を放浪する旅に出ます。ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ペルー、キューバを巡り、1932 年11月下旬から33年の6月までメキシコに滞在します。「第6章 ディエゴ・リベラをめぐる日本人画家」では、メキシコでフジタがリベラの知人たちを撮影したと思われる肖像写真,、フジタによるフランス出身コレクターの肖像画が展覧できます。また北川民次は美術雑誌『アトリエ』(1937年10月号)で「メキシコの画家」と題した特集記事で、リベラを取り上げています。この章では、フジタや北川らの作品や資料を通して、リベラと日本の接点を紹介します。

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レオナール・フジタ撮影の写真など

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レオナール・フジタ≪ディエゴ・リベラの肖像≫制作年不詳/グアダルーペ・リベラ・マリン・コレクション蔵/Guadalupe Rivera Marín

 民衆に理解してもらうために、リベラの壁画に登場する人物たちは、社会的な役割が分かるように描かれています。描写方法が類型化されていても、人物の容姿、衣服、持ち物などの特徴を的確に捉え、個々の肖像を描き分けています。油彩による肖像画においてもリベラは強い関心を持っていました。キュビズム期を含め、生涯にわたり数多くの肖像画を残しています。描写に制限があった壁画とは違い、油彩の肖像画は興味のある様式や時代性を取り入れながら、人物に応じて、様々なアプローチで肖像画を制作しています。「第7章 肖像—人間への眼差し」では、リベラの≪裸婦とひまわり≫、≪自画像≫のほかに、メキシコの写真家マヌエル・アルバレス・ブラボ(1902-2002)が撮影したリベラの肖像写真(前期のみ展示)、マリア・イスキエルド(1902-1955)の≪マリア・アスンソロの肖像と巻貝≫、フリーダ・カーロの≪ディエゴとフリーダ1929-1944(ディエゴと私Ⅱ)≫などの作品を紹介しています。

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ディエゴ・リベラ《裸婦とひまわり》1946年/ベラクルス州立美術館蔵/Museo de Arte del Estado de Veracruz/© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.

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フリーダ・カーロ《ディエゴとフリーダ1929-1944 (ディエゴと私)Ⅱ》1944年/個人蔵/Private Collection, Mexico City/© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.

 メキシコでは革命や社会のための芸術でなく、美の普遍性に憧れ芸術を審美的に探求する姿勢や、社会の集団的価値観にとらわれることのない表現の多様性を積極的に認めていく動きがありました。この動きのネットワークの役割を果たしたのは文芸雑誌でした。『ファランヘ(方陣)』はその先駆的な雑誌のひとつですが、なかでも重要な役割を果たした雑誌『コンテンポラネオス(同時代人)』 は、詩人オクタビオ・パス(1914-1998)や文化人に影響を与えました。同誌は、ルフィーノ・タマヨ(1899-1991)の初期の作品を取り上げたほかに、北川民次を特集しています。「第8章普遍性と多様性」では、文芸雑誌の展示のほかに、シュルレアリスムとメキシコの関係を取り上げています。メキシコでは運動体としてシュルレアリスムは展開しませんでしたが、シュルレアリストのアンドレ・ブルトンは、子どものころから憧れたメキシコを訪れ、フリーダ・カーロの絵画やマヌエル・アルバレス・ブラボの写真に触れています。リベラは強くシュルレアリスムに影響は受けていませんが、1940年にメキシコ市で開催された「シュルレアリスム国際展」に、フリーダ・カーロとともに出品しています。

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文芸雑誌『コンテンポラネオス(同時代人)』

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ディエゴ・リベラ《聖アントニウスの誘惑》1947年/メキシコ国立美術館蔵/Museo Nacional de Arte, INBA, Mexico City/© 2017 Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F./Reproduction Authorized by INSTITUTO NACIONAL DE BELLAS ARTES Y LITERATURA 2017.

【関連イベント】
※ミュージアムカレッジ「メキシコと20世紀美術」
12月2日(土)
「ミューラル・アートの発展:メキシコ、日本、オーストラリア」
ザラ・パップジリア(埼玉大学准教授)
時間:15:00-16:30(14:30開場)
場所:2階講堂
定員:100名 (当日先着順)/費用:無料
■参加申込みについての詳細は美術館ホームページで

※ミュージアム・コンサート
(本展のテーマにちなんだコンサート)
12月10日 (日)
出演:笹久保伸(ギター)、青木大輔(サンポーニャ)
時間:14:30〜 (開場は30分前、演奏時間は約60分)
地階センターホール
60席 (当日11:00から1階受付で整理券を配布)/無料
■詳細は美術館ホームページで

※学芸員によるギャラリー・トーク
11月25日 (土)
各日とも15:00-15:30
場所:2階展示室
費用:企画展観覧料が必要
■詳細は美術館ホームページで

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2017年11月11日 (土)

古代アンデス文明展 Ancient Civilization of the Andes

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 国立科学博物館とTBSが、これまでに20年以上にわたって古代アンデス文明を、ひとつの文化ごとに紹介してきた。今回は、中央アンデス地域に人類が到達した時代から、スペイン人によるインカ帝国征服までの約15000年の間に生まれたアンデス文明の全体像を紹介する「古代アンデス文明展」が、国立科学博物館(東京・上野)で来年2月18日まで開催されている。

 古代アンデス文明には解きがたい「謎」がいまだ残っているなかで、現時点での最新の知識と理解を伝える本展は、「人類の普遍性」と「人間とは何か」を知る手がかりとなる。

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ナスカの地上絵(ペルー)撮影 義井豊      ウユニ塩湖(ボリビア)撮影 義井豊
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マチュピチュ(ペルー)撮影 義井豊

古代アンデス文明展
Ancient Civilization of the Andes

会期 2017年10月21日(土)-2018年2月18日(日)
    9:00~17:00 (金曜日・土曜日は20:00まで)
    ※入館は各閉館時刻の30分前まで
    ※休館日:月曜日、12/28(木)~1/1(月)、1/9(火)
    ※1/8(月)、2/12(月)は開館

会場 国立科学博物館
 東京都台東区上野公園 7-20

公式ホームページ http://andes2017-2019.main.jp/andes_web/

観覧料 一般・大学生1,600円 小・中・高校生600円
※未就学児は無料、障害者手帳所持者とその介護者1名は無料
※そのほかの割引制度あり

主 催 国立科学博物館、TBS、朝日新聞社

監 修
島田 泉(南イリノイ大学人類学科教授)
1948年京都府生まれ。
コーネル大学人類学科、アリゾナ大学大学院人類学専攻を経て、28歳でアリゾナ大学客員助教授に就任以降、プリンストン大学、ハーバード大学などの助教授と準教授などを歴任し、1994年から現職。 シカン文化学術調査団及びパッチャカマック考古学調査団団長。

篠田 謙一(国立科学博物館 副館長 兼 人類研究部長)
1955年静岡県生まれ。
京都大学理学部卒業。佐賀医科大学助教授、2003年より国立科学博物館(人類研究部人類第1研究室)室長等を経て、2016年から現職。 DNA分析により日本人やアンデス先住民の系統と社会情報を研究。

 アンデスに人が定住するまでのを最新科学から辿る「序章 人類のアンデスの人類到達とその後の生活」から本展は始まる。初歩的な農業経済に基づく定住生活や地域間の交流が始まり、祭祀センターがつくられたという。「第1章 アンデスの神殿と宗教の始まり」では、アンデスでどのような神殿がいつ建造され、どのような宗教を持っていたかを紹介する。

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左と中央はともに未焼成の小型男性人像(レプリカ)
先土器時代後期(前3000~前1500年頃) カラル遺跡付近のミラヤ遺跡
ペルー文化省・カラム考古学地区コレクション
右は線刻装飾のある骨製の笛2本(レプリカ)
先土器時代後期(前3000~前1500年頃) カラル遺跡
ペルー文化省・カラム考古学地区コレクション所蔵

 数々の石造りの壮大な建造物で知られている古代アンデス文明。「第2章 複雑な社会の始まり」では、石彫の神像や頭像などから石の文明の始まりはどの時代からであったのかに迫る。ペルー北部山岳地域のチャビン文化では、地域ごとに独特な宗教観が芽生え、社会の統一が始まっていった。チャビン文化の宗教観、図像、社会構造を紹介する。

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《テノンヘッド》 チャビン文化(紀元前1300年頃から前500年頃)
ペルー文化省・国立チャビン博物館所蔵 撮影 義井豊

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《自身の首を切る人物の象形鐙型土器》
チャビン文化(紀元前1300年頃から前500年頃)
ペルー文化省・国立チャビン博物館所蔵 撮影 義井豊
※自身の首を切りつける光景は、高位の人物が自ら身を捧げるほどの、重要な儀礼的要素であったと考えられている。



 文字が発明されなかったアンデス文明では、土器の意匠が意志疎通のツールとなっていと言われている。「第3章 さまざまな地方文化の始まり」では、モチェ文化における土器を通して「神々」「死者」「自然」「人間」の4つの世界観を紹介する。

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《象嵌のマスク》 モチェ文化(紀元200年頃から750/800年頃)
ペルー文化省・国立博物館所蔵 撮影 義井豊

 地上絵で知られるナスカ文化の多彩色による装飾された土器や織物が紹介される。「第4章 地域を超えた政治システムの始まり」は、アンデス最大にして最後の帝国となるインカ帝国の基礎となった重要な文化群(ティワナク文化、ワリ文化。シカン文化)を紹介する。

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《土製のリャマ像》 ワリ文化(紀元650年頃から1000年頃)
ペルー文化省・国立考古学人類学歴史学博物館所蔵 撮影 義井豊

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《つづれ織のチュニック》 ワリ文化(紀元650年頃から1000年頃)
ペルー文化省・国立考古学人類学歴史学博物館所蔵 撮影 義井豊
※手間をかけてワリのチュニックは、世界最高レベルの細かいつづれ織り。

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《縄をかけられたラクダ科動物(リャマ?)が描かれた土製の皿》
ナスカ文化(紀元前200年頃から紀元650年頃)
ディダクティコアントニーニ博物館所蔵 撮影 義井豊

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《被葬者の仮面》 シカン文化(紀元800年頃から1375年頃)
ペルー文化省・国立シカン博物館所蔵 撮影 義井豊

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《細かい細工がほどこされた金の装飾品》
シカン文化(紀元800年頃から1375年頃)
ペルー文化省・国立ブリューニング考古学博物館所蔵 撮影 義井豊
※シカンの金細工の高水準を示す装飾品。

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《金の胸飾り》 シカン文化(紀元800年頃から1375年頃)
ペルー文化省・国立ブリューニング考古学博物館所蔵 撮影 義井豊

※打ち出し細工で形づくった細長いお椀形のパーツ65個を、小さな穴あき玉を通した針金でつないだ胸飾り。

 「第5章 最後の帝国-チムー王国とインカ帝国」は、アンデス文明の最後を飾った、チムー帝国とインカ帝国の二つの勢力の覇権争いを描く。

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《インカ帝国のチャチャポヤス地方で使われたキープ》
インカ帝国(紀元15世紀早期から1572年頃)
ペルー文化省・ミイラ研究所・レイメバンバ博物館所蔵 撮影 義井豊
※文字を持たなかったアンデスで、情報の記録・伝播手段という役割を担ったのがキープである。

 人の身体も文化の所産という考えから、「第6章 身体から見たアンデス文明」では、発掘された人骨やミイラを観察することによって、古代アンデス文明の身体観を考える。

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《開頭術の跡のある男性頭骨》
チリバヤ文化(紀元900年頃から1440年頃)
ペルー文化省・ミイラ研究所・チリバヤ博物館所蔵 撮影 義井豊
※アンデスの古代社会に医学・解剖学に関する相当な知識があったことが窺える。

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《男児のミイラとその副葬品》 チリバヤ文化(紀元900年頃から1440年頃)
ペルー文化省・ミイラ研究所・チリバヤ博物館所蔵 撮影 義井豊
※副葬品は死後の世界での生活に必要であると考えられている。

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《少女のミイラ》 チリバヤ文化(紀元900年頃から1440年頃)
ペルー文化省・ミイラ研究所・チリバヤ博物館所蔵 撮影 義井豊

 記念講演会(11月26日)のほか、「しあわせ”もふもふ”アルパカ記念撮影会」、ウニユ塩湖が体験できる「VRウニユ塩湖~17,000kmの彼方へ~」などの関連イベントも用意されている。詳細については公式ホームページで。

【チケット・プレゼント】予定の組数のお申込みがありましたので、プレゼントは終了させていただきました。(2017年11月13日午後2時)
「古代アンデス文明展」のチケットを2枚を1セットにして5組の方にプレゼントいたします。
ご希望の方は、メールの件名に、「古代アンデス文明展チケット希望」として、問合せ/Contactでご案内しているメールアドレス宛にご送信ください。

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2017年10月 8日 (日)

シルクロード特別展「素心伝心」 クローン文化財 失われた刻の再生 The Grand Exhibition on the Silk Road SOSin-DENSin Clone Cultural Property: Revitalization of Lost Time

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 劣化する文化財の「保存」を考えると、一般「公開」をいっさい避けるのが良いとされるが、公共の財産として考えると、それは難しい。ならばレプリカを作ればよい。しかし本物と見紛うほどの精巧なものでなければ、観る者も納得はしないだろう。

 東京藝術大学は、劣化が進行しつつある或いは永遠に失われてしまった文化財の本来の姿を現代に甦らせ、未来に継承していくための試みとして、文化財をクローンとして復元する特許技術を開発した。本展では古代シルクロードの各地で花開いた文化を代表する遺産がクローン文化財として甦る。

東京藝術大学創立130年スペシャルプログラム

シルクロード特別企画展 「素心伝心」
クローン文化財 失われた刻の再生

会期  2017年9月23日(土)- 10月26日(木)
     午前10時 - 午後5時(入館は閉館の30分前まで)
     ※金曜日は午後8時まで開館(入館は午後7時30分まで)
          休館日: 毎週月曜日(ただし、10月9日は開館)

会場 東京藝術大学大学美術館3階
    
東京都台東区上野公園12-8

 観覧料: 一般1,000円  高校・大学生800円 (中学生以下は無料)
     ※ 20名以上の団体料金あり
     ※障害者手帳所持者は(介護者1名を含む)は無料
公式サイト http://sosin-densin.com/

主催 東京藝術大学 東京藝術大学シルクロード特別企画展実行委員会
    山陰中央新報社 公益財団法人しまね文化振興財団
後援  株式会社共同通信社 公益財団法人全日本仏教会
特別協力 公益財団法人平山郁夫シルクロード美術館
       立命館大学COIアクティブ・フォー・オール拠点 
       株式会社JVCケンウッド
       ヤマハ株式会社 株式会社竹尾 小川香料株式会社
       400年を超える高岡市の鋳物技術と600年を超える南砺市の彫刻技術を活用した
       地場産業活性化モデルの構築・展開事業推進協議会

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2017年10月 2日 (月)

特別展「運慶」 UNKEI The Great Master of Buddhist Sculpture

 古刹名刹巡りする人のみならず、運慶は小学校より聞きなじんだ名前だ。日本でいちばん知られている仏の彫刻師、運慶の作を各地から集めた最大の展覧会が、東京国立博物館(東京・上野)で、11月26日まで開催されている。

興福寺中金堂再建記念特別展 「運慶」

会期 2017年9月26日(火)-11月26日(日)
    ※会期中、一部作品の展示替えあり。
会場 東京国立博物館 平成館 (上野公園)
    東京都台東区上野公園13-9
    特設サイト http://unkei2017.jp/
開館時間 9:30-17:00 (入館は閉館の30分前まで)
    ※金曜・土曜および11月2日(木)は21:00まで開館
休館日 月曜日 ※ただし10月9日(月・祝)は開館
料金 一般1600円 大学生1200円 高校生900円 中学生以下無料
    ※20名以上の団体料金あり。
    ※障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障がい者手帳など要提示。
    ※そのほかの割引制度あり。詳細は特別サイトを参照。

主 催 東京国立博物館、法相宗大本山興福寺、朝日新聞社、テレビ朝日
協 賛 あいおいニッセイ同和損保、鹿島建設、JR東日本、大和証券グループ、凸版印刷
協力 神奈川県立金沢文庫、小学館、ビックカメラ
後援 TOKYO FM

問い合わせ先 Tel 03-5777-8600

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公式カタログ
A4変型判 322頁
3000円(税込)

 生涯に多くの作品を残した運慶と縁の深い奈良・興福寺の中金堂再建記念事業として企画された本展には、同寺所蔵の運慶の作品が出品されるほか、京都、和歌山、愛知、静岡など各地で大切に守り継がれてきた運慶作品計22体が結集し、史上最大の運慶展が実現した。

 運慶は、父康慶から造像を学んだ。「第1章 運慶を生んだ系譜-康慶から運慶へ」は、康慶・運慶の源となった奈良仏師の作品と、康慶・運慶の初期の作品を紹介する。

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阿弥陀如来および両脇侍坐像
平安時代・仁平元年(1151)
奈良・長岳寺 重要文化財

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仏頭 運慶作
鎌倉時代・文治2年(1186)
奈良・興福寺 重要文化財

 運慶は、鎌倉幕府、東国武士にかかわる造像で、伝統に縛られず、大胆に個性が発揮できた。「第2章 運慶の彫刻-その独創性」では、≪毘沙門天立像≫や存在感と品格を併せ持つ≪八大童子像≫などが展示。

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毘沙門天立像 運慶作
鎌倉時代・文治2年(1186)
静岡・願成就院 国宝

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不動明王立像 運慶作
鎌倉時代・文治5年(1189)
神奈川・極楽寺 重要文化財

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毘沙門天立像 運慶作
鎌倉時代・文治5年(1189)
神奈川・極楽寺 重要文化財

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世観菩薩立像(左) 無著菩薩立像 運慶作
鎌倉時代・建暦2年(1212)頃
奈良・興福寺 国宝
(右奥は、四天王立像の広目天立像)

 「第3章 運慶風の展開-運慶の息子と周辺の仏師」では、運慶の仏師となった六人の息子たちのなかから、湛慶と康弁の作を紹介する。

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左から、善膩師童子立像、吉祥天立像、毘沙門天立像 湛慶作
鎌倉時代・13世紀
高知・雪蹊寺 重要文化財

 運慶の作品は、今もなお調査研究は進んでおり、X線CT調査によって得た像内の納入品の映像は運慶研究を進展させた。本展では、こういった新知見も紹介される。

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2017年10月 1日 (日)

ハイチアート展 Haitian Art

カリブ海の美しい島国で生まれた、人間愛と自然への親しみに満ちたハイチアートの数々を紹介!  
カリブ海に浮かぶ美しい島国・ハイチ共和国。1492年にコロンブスが到達して以来、1804年にフランスから独立して世界初の黒人による共和国として誕生しました。フランス植民地時代には、人々の間に芸術に親しむ環境が醸成されて、やがて国民全体に広がっていきました。フランス人仕込みで絵の描き方を学んだ人々は、ハイチの美しい自然や素朴な民衆の生活をモチーフに、ハイチの文化を象徴する「ハイチ絵画」を誕生させました。南国的な華やかな色彩で、擬人化された動物たちや幻想的な風景、ブードュー教信仰を背景とした精霊の姿などを描くハイチの芸術は、シュルレアリスムの指導者アンドレ・ブルトン(1896-1966)にも注目され、世界的に高い評価を受けています。

ハイチアート展

会場 川崎市民ミュージアム 企画展示室2
    神奈川県川崎市中原区等々力1-2(等々力緑地内)
    Tel 044-754-4500
    https://www.kawasaki-museum.jp/

会期 2017年09月02日-2017年11月26日

    休館日毎週月曜日(ただし10月9日は開館)、10月10日(火)、11月24日(金)

観覧料 一般300円 学生・65歳以上200円
      中学生以下 無料 
           *障害者手帳所持者およびその介護者は無料

主催 川崎市市民ミュージアム

後援 駐日ハイチ共和国大使館

協力 佐藤文則

チラシ
「flyer_haitian_art.pdf」をダウンロード

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2017年9月30日 (土)

ヤマダ トミオ 展「ベサメ・ムーチョ/Besame Mucho」

「しわが増えてもベシート(besito/チュウ)をスペイン人は忘れません。」

洒脱なミニマルアートで楽しませてくれるヤマダ トミオの個展が開催される。

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ヤマダ トミオ 展「ベサメ・ムーチョ/Besame Mucho」

2017年10月23日(月)- 11月4日(土)
11:00-19:00(最終日17:00 会期中無休)

Gallery G
東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3階
Tel 03-3535-2524

ヤマダ トミオ
1948 神奈川県生れ
1970 スペインへ留学
1974 スペイン国立マドリード美術工芸学校卒業
現在、スペイン在住

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2017年9月10日 (日)

開館35周年記念展 ディエゴ・リベラの時代 Diego Rivera and his contemporaries

 フリーダ・カーロは、森村泰昌の作品に登場したり、石内都の≪Frida is≫などで、日本ではよく知られるメキシコのアーティストだが、彼女の夫であるディエゴ・リベラは研究者以外なかなか知られていない。

 メキシコ・シティで生まれたディエゴ・リベラ(1886-1957)は、絵画を学ぶためヨーロッパにわたるが、メキシコ人のアイデンティティを自ら再認識し、メキシコで壁画運動を先導する。壁画運動の中心人物として、リベラ以外にダビッド・アルファロ・シケイロスとホセ・クレメンテ・オロスコがいる。

 埼玉県立近代美術館は、開館35周年を記念して、「ディエゴ・リベラの時代」展を、来月21日から開催する。今年はディエゴ・リベラ没後60年目でもある。

 リベラの画業をたどりながら、同時代の画家も紹介し、メキシコ近代美術の魅力を探る展覧会となる。出品点数約160点。会期中の一部展示替えあり。

 ディエゴ・リベラについての研究書には、ラテンアメリカ美術研究者の加藤薫が著した「ディエゴ・リベラの生涯と作品」(岩波書店、2011年)がある。

開館35周年記念展 ディエゴ・リベラの時代

会期 2017年10月21日 (土) - 12月10日 (日)

      10時-17時30分(展示室への入場は17時まで)

   休館日 月曜日

会場 埼玉県立近代美術館

   埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1

   電話 048-824-0111

   http://www.pref.spec.ed.jp/momas/

観覧料 一般1200円、大高生960円

    ※20名以上の団体料金あり

    ※中学生以下と障害者手帳提示者は付添者1名を含めて無料

    詳細は美術館まで

主催 埼玉県立近代美術館、メキシコ文化庁/メキシコ国立芸術院

   読売新聞社、美術館連絡協議会

後援 駐日メキシコ大使館

 

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2017年7月24日 (月)

Picasso and Rivera: Conversations Across Time ピカソとリベラ 時を超えた会話

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Picasso and Rivera: Conversations Across Time

4 December, 2016-7 May, 2017
Los Angeles County Museum of Art (LACMA)
5905 Wilshire Blvd., Los Angeles CA 90036, USA

 同時代の画家パブロ・ピカソとディエゴ・リベラはかつてはライバル同士でした。ともに野心的で、画家として多作家で、国際的に名高く、そして並外れた個性でよく知られています。

 「ピカソとリベラ 時を超えた会話」展は、ヨーロッパとラテンアメリカ双方においてモダニズムが形成されるなかで交差した瞬間を紹介するとともに、20世紀巨匠のピカソとリベラが、古代地中海世界とコロンブス以前の世界にいかにして関わりをもったかを探ります。

 本展は、二人が受けた似通う学校教育から始まり、共通するキュービズムへの傾注、1920年代から1950年代までの古代回帰まで、画家二人の軌跡を見比べます。

 絵画、エッチング、水彩画の150点を、ピカソとリベラとの対話の中に、またメキシコの古代彫刻とイベリアの古代彫刻との対話する中に展示する「ピカソとリベラ 時間を超えた会話」展では、ピカソとリベラの作品がいかにして古代美術の形態、神話、構造から深い影響を受けたかを中心に、ピカソとリベラの創作活動を知ることができます。

エル・パイス誌の展評
「picasso_contra_rivera__pelea_de_gallos_en_el_arte_moderno_cultura__el_pas.pdf」

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2017年7月20日 (木)

光は見えるか 上條陽子とパレスチナの子どもたち

 美術家上條陽子は、1999年パレスチナの日本人作家による展覧会「東京からの七天使」に参加し、会期中にパレスチナの子どもたちに絵画指導を行ったことがきっかけに、子どもたちに制作の楽しさを伝える「パレスチナのハート アートプロジェクト」の活動を開始した。本展では、上條のパレスチナの活動を焦点をあて、上條のパレスチナの子どもたちの作品を紹介する。7月23日まで、田川市美術館(福岡県田川市)にて開催中。

フライヤー
「kamijyo_yoko_palestine.pdf」をダウンロード

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2017年7月 3日 (月)

ピカソとシャガール 愛と平和の讃歌 PICASSO AND CHAGALL:IMAGINARY DIALOGUES

ポーラ美術館開館15周年記念展
ピカソとシャガール 愛と平和の讃歌 
PICASSO AND CHAGALL:IMAGINARY DIALOGUES

2017年3月18日(土)~9月24日(日)
※会期中無休
ただし展示替のため、5月12日(金)は一部休室
6月21日(水)は常設展示のみ

ポーラ美術館
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285
電話:0460-84-2111

企画展特設サイト http://www.polamuseum.or.jp/sp/picasso_chagall_2017/

開催概要

パブロ・ピカソ(1881-1973)とマルク・シャガール(1887-1985)は、ともに20世紀を代表する芸術家です。ポーラ美術館開館15周年を記念するこの展覧会は、二人の関係に光をあて、彼らの初期から晩年までの作品をたどることで、それぞれの新たな芸術家像を浮かび上がらせる試みです。このふたりの関係に焦点をあてた展覧会は、本展が世界で初めての機会となります。

ピカソとシャガールはこれまで対照的な芸術家と捉えられてきました。しかし、二人の作品を比べ合わせたとき、絵画における対象の変形や色彩といった課題において、また「愛」や「平和」という主題において、共通する取り組みも見られます。20世紀の芸術を牽引した対照的な2人の作品80点から、彼らの芸術の本質に迫ります。

●主  催:公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
●特別協力:メレット・メイヤー氏(シャガール家遺族代表)、群馬県立近代美術館、AOKIホールディングス
●後  援:在日フランス大使館/アンスティチュフランセ日本
●出品点数:約80点

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