展覧会/Exhibition

2023年9月 3日 (日)

Enrique Iwasa, pintor de paisaje/ 風景画家 エンリケ・イワサ Museo Casa de Yrurtia, Buenos Aires

日系人の風景画画家の展覧会、但しアルゼンチンの美術館でのこと

Hachisaburo Iwasaは、1896年11月18日に北海道で生まれ、日本を離れ、ブラジルに渡り、ブラジルで暫く過ごすが、1922年頃アルゼンチン、ブエノスアイレスに移住する。そして名前を、Enrique Iwasaと改名。

ブエノスアイレスのベルグラノ地区にあるいくつかの邸で庭師として働き始めた。
その邸の中に、彫刻家Rogelio Yrurtiaと美術評論家であり文芸評論家Geertruida Radersmaの邸があり、Enrique Iwasaはその二人からデッサンの手習い受けた。

Enrique Iwasaは、YrurtiaとRadersma邸付き庭師から、彫刻家の弟子となり、絵画の腕も上達し、画家として大成した。

1933年に 国立美術館のSalón Anual de Artes Plásticas(現在Salón Nacional)に初めて出品する。そして、サロンで初めての日本人の入選者となった。

"Enrique Iwasa, pintor de paisaje/ 風景画家 エンリケ・イワサ"
Museo Casa de Yrurtia, Buenos Aires
2023年10月29日迄

Enrique-iwasa

もう少しこの日系人画家とアルゼンチン彫刻家と美術評論家のことを調べてみる。

アルゼンチン文化省のサイトより
Enrique Iwasa, pintor de paisaje se presenta como una muestra temporaria en la que se le rinde tributo al jardinero de Rogelio Yrurtia.

En esta exposición se exhiben algunos trabajos realizados por Enrique Iwasa en lápiz y tinta del Barrio de Belgrano hacia 1920, autorretratos y óleos de paisajes urbanos y naturales.

Nacido en la isla de Hokkaido, Japón, el 18 de noviembre de 1896, Hachisaburo Iwasa, después de abandonar Japón y pasar un tiempo en Brasil, arribó a Buenos Aires alrededor del año 1922, donde adoptó el nombre de Enrique. Había estudiado paisajismo en su japón natal y comenzó a trabajar como jardinero en las casonas del barrio de Belgrano, en el que se había instalado. Entre ellas se encontraba la casa de Rogelio Yrurtia y Geertruida Radersma, con quienes se ocupó del diseño y cuidado del amplio jardín.

Un día Iwasa le comenta a Yrurtia sobre su dedicación a la pintura, el escultor entonces le pide que le muestre sus trabajos. A partir de ese momento Yrurtia comienza a darle lecciones y guiarlo en sus avances pictóricos, estableciendo asi una relación maestro - discípulo.

En el año 1933, Iwasa expone por primera vez en el XXIII Salón Anual de Artes Plásticas (actual Salón Nacional) en el Museo Nacional de Bellas Artes convirtiéndose en el primer artista japonés en ingresar a este salón. Luego participó del mismo salón entre los años 1935 y 1950.

3septiembre2023

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2023年8月29日 (火)

水が描く、風が描く、土が描く (横尾龍彦-瞑想の彼方 第五章の章題)

地塗りして乾かないキャンバスを揺らし、大きな絵筆で絵具をひねくり回し、さらにその上に鉱物の粒をさらさらと蒔く。頭を空っぽにし、時を待って、自己忘却し絵を描き始めると、横尾龍彦は話す。

横尾龍彦 瞑想の彼方
埼玉県立近代美術館
9月24日迄
内覧会取材撮影
29agosto2023
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《風》2001年
ミクストメディア・カンヴァミクストメディア・カンヴァス
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《青い風》2003年
ミクストメディア・カンヴァス

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左:《王の乗り物》1998年 ミクストメディア・カンヴァス
右:《わだつみ》1998年 ミクストメディア・カンヴァス

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2023年8月15日 (火)

パブロ・カザルスとアントニ・ガウディ

パブロ・カザルスが生まれた1876年12月29日、この時アントニ・ガウディは23歳。
同じカタルーニャ出身。

パブロが生まれた1876年に、アントニは、建築学校の卒業制作として、大学講堂の図面を引いている頃。
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アントニ・ガウディ
大学講堂、横断面(卒業設計〈建築家資格認定試験〉)
オリジナル1877年

パブロ13歳の時、小さな楽譜店でバッハの無伴奏チェロ組曲の楽譜を手に入れるのだが、11歳でチェロをすでに弾き始めている。パブロ少年が13歳の頃の1888年から89年にかけて、サグラダ・ファミリア聖堂が建設中断となり危機を迎えた。というのは、着工から1888年頃まで赤字が続いたためらしい。建築予算の他に献金も、建設に重要な資源となっていた。

さて、13歳のパブロ少年は、サグラダ・ファミリア聖堂の予算不足で困っていたことを知ってか知らでか聖堂の傍を、バッハの楽譜を小脇に抱えて歩いていたのでしょうか。これは勝手な想像です。
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Pau Casals a l’edat d’onze anys. Fons Pau Casals.
©Fundació Pau Casals

パブロ・カザルスはこの10月に没後50年を迎えます。
ガウディとサグラダ・ファミリア展
東京国立近代美術館 9月10日迄
※展覧会写真は内覧会取材撮影
※Pau Casals11歳の時の写真©Fundació Pau Casals
15agosto2023

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2023年8月10日 (木)

うえののそこから「はじまり、はじまり」 荒木珠奈展 東京都美術館ギャラリーABC


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うえののそこから「はじまり、はじまり」
荒木珠奈展
東京都美術館ギャラリーABC


森に迷い込んでしまったこどもが、不安と好奇心を持ちながら、いろんなものを体験したり発見したりする冒険に満ちたトレイルが続く。その場所は、上野の森に東京都美術館の中。


絵のない額縁からオルゴールが聞こえてくる。額縁から飛び出してきたペルーの蝶々が数匹舞っている。


「はじまり はじまり」と蝶の舞いとともに舞台の幕は開けられ、旅(viaje)が始まる。


昔、永六輔がラジオで、「その横ちょを曲がったらもう旅は始まるんだよ」と言っていたことよく思い出す。遠くへいかずとも旅はできるということだ。


20数センチ四方の紙片のなかで、家だったり、舟だったり、部屋だったり、時には大波だったり、そして骸骨までもでてくる。それらのモティフには何故かうっとりしてしまう。


青い灯、赤い灯、黄色の灯、緑の灯と、人家の明かりが見えてくる。メキシコの丘の上にあるスラム街のように。


会期は10月9日までつづくので、次回の投稿まで、ここら辺りでひとやすみ(un descanso)。Continuará

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9agosto2023

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2023年8月 9日 (水)

天稚彦物語絵巻

天稚彦物語絵巻 下巻
江戸時代 17世紀
サントリー美術館

「鬼」舅に打ち勝った嫁の話(?)
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息子の天稚彦と長者の娘と仲睦まじく暮らしているのをよく思わない天稚彦の「鬼」父親が、息子の嫁に、無理難題を押しつける。天に戻った天稚彦が居ない間の出来事。

千石の米を一粒残さず別の蔵へ移せよとの「鬼」舅からの課題に、嫁は衣を振るとアリが現れて、アリが米粒を全部運んでくれた。
課題をクリアされてしまった「鬼」舅が次に課したことは、百足が数千匹いる蔵で七日間過ごせよとの課題。それにも嫁はクリアし、さらにヘビの城に入れよという課題もクリアしてしまった。

「鬼」舅は二人の仲を許し、「鬼」舅が投げた瓜が二つに割れて天の川となり、天に戻っていた天稚彦と長者の娘は、七夕の日に再び逢うことができたとさ。

虫めづる 日本の人々
サントリー美術館
9月18日迄
(内覧会取材撮影)
9agosto2023

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2023年8月 2日 (水)

古代メキシコ展 テオティワカンの香炉

このテオティワカン文明の香炉は会場で一段と目を惹きつけた出土品だが、その姿は東南アジアの素朴な香炉とは似て非なる造形である。

 

仏教で香炉の香りは臭気予防と不浄を祓う器として宗教儀式で使われていたが、テオティワカンのこれも、先祖や神を崇拝する儀式用具と考えられている。美品なおかつ完品である。

 

彩色が残る「幾何学文様、動植物や兵士のシンボル、仮面の装飾片」が貼り付けられている。細かい仕事をしているのが素直に感じ取れる。

 

では果たして、何を焚いたのか。香木か。

 

香炉

テオティワカン文明 350550

テオティワカン、ラ・ベンティージャ、宮殿B出土

土器、彩色

高さ57.9cm、幅40.4cm

メキシコ国立人類学博物館

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*内覧会取材撮影

 

古代メキシコ

マヤ、アステカ、テオティワカン

祈り、畏れ、捧げた。

東京国立博物館

93日迄

 

2agosto2023

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2023年8月 1日 (火)

横尾龍彦 「瞑想の彼方」と「顕神の夢」

瞑想や禅という世界に憧れるが、生来の落ち着きのなさで、とんと最後まで付き合ったことがない私だが、信じてもらえないかもしれないが、幻視体験は時々しているみたいだ(?)。

横尾龍彦(1928-2015)は、少年期の神秘体験、そして50歳手前で、「禅に傾倒し、それまでの幻想画から、東洋の瞑想と西洋の神秘主義を融合する画風に変化」(「顕神の夢→幻視の表現者」展図録より引用、岡本太郎美術館2023年)していった。

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横尾龍彦《臥龍》1988年
「横尾龍彦 瞑想の彼方」展(埼玉県立近代美術館)出品
(同展内覧会にて撮影)

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「顕神の夢→幻視の表現者」展図録(岡本太郎美術館2023年)
同展には横尾龍彦の《龍との戦い》(1988年)、《無題》(1981-91年頃)、《枯木龍吟1》(1988年)が出品された。

横尾龍彦 瞑想の彼方
埼玉県立近代美術館
9月24日迄

1agosto2023

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2023年7月29日 (土)

「ガウディとサグラダ・ファミリア展」の「ガウディの創造の源泉」


「ガウディとサグラダ・ファミリア展」の「ガウディの創造の源泉」(第2章)となったひとつである自然のフォルムがある。幾何学的な造形ばかりでなく、オーガニックフォームを建築に生かしている。

棕櫚はカサ・ビセンスの門に使われた。
同じカサ・ビセンスの黄色の小花のタイル。
ガウディのスケッチしたサボテン、スイレン、ヤシの木。

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アントニオ・ガウディ
カサ・ビセンス、鉄柵の棕櫚の模型
1886年頃 

アントニオ・ガウディ
カサ・ビセンス、正面のセラミックタイル
1883年 サグラダ・ファミリア聖堂

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アントニオ・ガウディ
植物スケッチ(サボテン、スイレン、ヤシの木)
1878年頃 レウス市博物館



ガウディとサグラダ・ファミリア展
東京国立近代美術館 9月10日迄
(いずれも内覧会取材撮影)
29julio2023

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2023年7月27日 (木)

山口俊郎展 Any Day Now S-Gallery粛粲寶美術館

茨城県境町のS-Gallery粛粲寶美術館で来月開催する企画展の案内です。

ダウン症という染色体異常による発達障害を持っ て生まれた長男の蒼汰郎君の誕生を切っ掛けに、父親の山口俊郎さんは息子の肖像画を描き始めました。

絵を通じて、父親と息子の交流を感じてもらえればと思います。ギャラリートークもあります。

山口俊郎展
Any Day Now
会期 2023年8月10日から9月18日まで
会場 S-Gallery粛粲寶美術館(茨城県猿島郡境町)
詳細はチラシをご覧ください。

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27julio2023













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2023年7月26日 (水)

横尾龍彦 瞑想の彼方 埼玉県立近代美術館

横尾龍彦 瞑想の彼方
埼玉県立近代美術館
924日迄

 

「本展に出品された1960年代後半の作品はすべて青木画廊で発表されたものだが、過日や宝石を思わせる丸みを帯びた物体、頭や手のない人物、動物などが溶け合うように一体化した、悪魔めいた場面が描かれている。その作風から、澁澤龍彦は「地獄」すなわち「画家の内部にひらけた深淵」を見つめた画家、種村季弘は「カトリシズムの教養と内的体験につちかわれ」つつも、「その反極たるデモノロジアックな諸観念」を出発点とする逆説の画家と横尾を評した。以後、「悪魔芸術」「地獄絵」の画家という横尾のイメージが徐々に浸透していった。(展覧会カタログ収録の小松健一郎「彼方より吹く風ー横尾龍彦の世界」より引用)

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横尾龍彦《沼の話》1967年

《沼の話》(1967年)を観た瞬間、スペインの画家、José Hernándezのことをすぐさま思いだした。1944年、モロッコの国際管理地域タンジェ(Zona Internacional de Tánger)で生まれたこの画家は、幻想絵画のマエストロの一人で、惜しくも2013年没している。

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“Memoria meteorológica“, 1982. Óleo sobre lienzo. 162 x 130 cm. © José Hernández.
José Hernández. El sueño anclado
Real Academia de Bellas Artes de San Fernand, 2015

 

26julio2023

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