開催中の「くまさんぽ 隈研吾建築と境町」展(S-Gallery粛粲寶美術館)には、建築模型の他に《Tsumiki》を展示しています。
《Tsumiki》は、坂本龍一から依頼を受けて隈研吾が創作したオブジェと言っても良いかと思います。この作品に纏わるエピソードについて、少々調べてみた。
隈研吾と坂本龍一とが知り合うきっかけは、隈研吾の幼なじみが坂本龍一の音楽マネージメントをしていたことから隈はこの幼なじみの方を通じて坂本との交流が始まる。
2000年代前後から坂本は、音楽活動とともに社会課題に取り組み、そのなかのひとつの森林問題に関心を抱き、2006年にNPO法人more treesを立ち上げた。
日本の木材資源を利用して、木材を使ったプロダクト構想が生まれたなかで、隈研吾に「つみき」を依頼した。だれにでも親しめる「つみき」、こどもにとっても木育となる「つみき」を坂本とmore treesとで構想していた。
隈研吾にとって、「つみき」は原点ということもあってこの「つみき」プロジェクトが始動した。隈はこどものころ、つみきが大好きで、母親からは、この子に積み木を与えてあげれば朝から晩まで手がかからないと思われたそうだ。
フランク・ロイド・ライトは積み木で育った。ライトの積み木とは、「フレーベル恩物」と呼ばれた教育教材で、丸、三角、四角の積み木をこどものころから触っていると教育にすばらしい影響を与えるという。ライトの発想は、積み木で養われたという。
一般的には四角の積み木が多いので、他の形でできないかというところから、三角の積み木が考案された。石やレンガを積んでいくものが西洋建築なのだけど、積み木はある意味で西洋的。日本的な物は、西洋的なボリュームをつくるのではなく、糸を編んで布をつくるような思考が日本的で、その編むを木でやるとしたら、三角形の積み木《Tsumiki》に到達した。切り込みが入っていることで、うまく編めることができた。さらに「かんざし」という日本的な木組み技法によって可能にさせた。「かんざし」がアクセントにもなっている。
S-Gallery粛粲寶美術館(茨城県境町)
9/23まで
くまさんぽ展ハンドアウト
19agosto2024
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