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2023年3月

2023年3月29日 (水)

中里斉展 Painting Outside Part Ⅱ MEM

Nakazatohitoshi
《View from Giulianova》
キャンバスにアクリル、油彩, 1987, 214×315cm, diptyque

中里斉展 Painting Outside Part II
2023年3月18日(土) – 4月9日(日)
MEM

 

MEMの案内より

中里斉は、1962年に渡米。以後母校の多摩美術大学で教鞭を執った数年を除いて、生涯をアメリカで過ごした画家である。
当時中里が降り立ったアメリカは、抽象表現主義がその影響を失い始め、反動として大衆文化のイメージを美術に取り込むネオダダやポップアートが現れた時期であった。神聖な絵画の領域に日常の断片が喧しく侵入してきた。それは象牙の塔に籠もるハイアートに対する異議申し立てであった。全米の大学キャンパスでは、ベトナム反戦運動が展開された。

ペンシルベニア大学を修了し、帰国する前にヨーロッパを旅した中里は、パリの五月革命にも遭遇した。体制への叛乱の時代であった。日本も学生運動の最中で、学校封鎖された多摩美術大学では、体制側の教師として自己批判を迫られる。そんな時代を通過した中里は、現代社会に生きる芸術家の矛盾に突き当たり、一時は絵筆を手放そうと思い詰めたが、画家としてあくまでも絵画の領域で絵画を超える仕事を追求する道を選んだ。

不断の思考活動と強靱な身体能力で、ひとりの絵画革命を推し進めた。中里がアメリカで出合ったのは、最先端の版画技法であった。当時発明されたばかりの一版多色刷りをマスターしたことが、抽象絵画への展開につながった。版画は抽象的な形象を展開するための重要な媒体になった。

本展は、70年代のミニマルのスタイルから80年代の色面構成の作品へ移行する変革期を中心に、版画での試行とキャンバス作品との関係を考察するシリーズ二回目の展覧会である。

中里斉(なかざと ひとし)
1936年、町田市生まれ。多摩美術大学油画科を卒業後、北海タイムス社に美術記者として入社。1962年よりウィスコンシン大学大学院、ペンシルベニア大学美術大学院に学ぶ。1968年から3年間多摩美術大学で専任講師を務める。1971年、アメリカに戻ってからは、母校のペンシルベニア大学で教鞭を取る。2010年、町田市立国際版画美術館での個展開催中ニューヨークにて急逝。
パブリックコレクションとして、京都国立近代美術館、国立国際美術館、東京都現代美術館、大原美術館、ニューヨーク近代美術館、ブルックリン美術館等多数。

中里斉インタビュー NYのアトリエにて、1989年

29marzo2023

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2023年3月26日 (日)

金沢晋吾 六本木クロッシング2022展:往来オーライ! Roppongi Crossing 2022: Coming & Going 森美術館

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六本木クロッシング2022展:往来オーライ!
Roppongi Crossing 2022: Coming & Going
森美術館
3.26最終日

金沢晋吾《長い間》
行方不明になっては舞い戻る父親のポートレート《Father》を2010年に発表した金沢は、本展では、長年にわたって行方不明になっていた伯母のポートレート《長い間》(2010-2020)を出品。

本作品群は、2018年の横浜市民ギャラリーあざみ野の個展「長い間」で開催された視覚障がい者との鑑賞ワークショップに参加して、観ていた。金沢にとって伯母と共有する記憶がなかったため、それまで金沢にあった当事者同士が共有する「主題=物語」というテキストがあったが、《長い間》にはなかった。

視覚障がい者との鑑賞ワークショップでは、目が見える人が、目が見えない人に、《長い間》を説明することは、作家とは離れたところで、目を見える人と、目が見えない人との間で、視覚言語というテキストを作成し、共有していたのかもしれない。

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写真は内覧会取材撮影

26marzo2023

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2023年3月23日 (木)

メキシコの版画家、Alberto Beltrán(1923-2002)

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栃木県立美術館の小口一郎展を観て気になったメキシコの版画家、Alberto Beltrán(1923-2002)。
今年生誕100年を迎える。Escuela Libre de Arte(野外美術学校)とAcademia de San Carlos(サンカルロス・アカデミー)で絵を学び、1945年にTaller de Gráfica Popular(民衆版画工房)に加わる。
ALBERTO BELTRÁN GARCÍA, EL ÉXODO, S/F, LINOGRAFÍA, 50.2 X 65.5 CM (SOPORTE) / 29.5 X 57.2 CM (IMAGEN), ACERVO ACADEMIA DE ARTES.
23marzo2023

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宮森敬子展 「記憶の海、Roseのプライド」 中村屋サロン美術館


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樹肌の荒面(凸凹)が、柔らかい和紙から、木炭に伝わる
木炭に伝わった振動は、木炭を持つ手に樹木の記憶を伝える
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《TIME Day1-Day420(10.11.2021-12.4.2022)》
2021-22年
和紙、木炭、ガラス、銅、ハンダ 
各8.5x6.5x12cm
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《グッバイ、私の小さな表面たち》
2021年 
和紙、木炭、色鉛筆、アクリルペイント、胡粉、木、亜麻布
95.0x90.0cm
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《タイプライター Rose》
2022年
アメリカの樹木のフロッタージュ(和紙、木炭)、タイプライター

宮森敬子展
「記憶の海、Roseのプライド」
中村屋サロン美術館

17marzo2023

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小口一郎展 栃木県立美術館

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「二つの栃木」の架け橋

小口一郎展 足尾銅山事件を描く

栃木県立美術館

3/26迄

今年2月に訪れた古河文学館のスポット展示「没後110年  文学の中の田中正造」のなかで小口一郎の版画が紹介されていたことがきっかけで、栃木県立美術館の「小口一郎展 足尾銅山事件を描く」を今日観てきた。

小口は描いた油彩画を木版画にする作業を行っている。油彩画の混色は実に映えていた。

画面から強い圧を感じさせた、連作版画《野に叫ぶ人々》(1969年)、《鉱毒に追われて》(1974年)、《盤圧に耐えて》(1976年)の三部作。

足尾銅山事件、広島長崎の原爆、水俣病、チェルノブイリ原発事故、福島第一原発事故、どれも人間が人間によって背負わされた悲劇の繰り返し。

本展のカタログは既に売り切れで、生誕100年小口一郎木版画展(2014年、車屋美術館)のカタログを購入。

足尾銅山の炭鉱跡地をモチーフに描いている續橋 守の作品を思い出してる(續橋 守展、画廊楽、2021年6月12日)。

コレクション展展示「時のながれ」では、内田あぐり《輪舞図》ほか、渡辺豊重《工場》ほか、篠原有司男《モーターサイクル・ママ》ほか、柄澤齋《死と変容第1集夜1-7水》ほか、伊藤公象《収縮性小曲面体》等の作品を観ることができた。

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21marzo2023

 

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2023年3月19日 (日)

Manuel Franquero The language of things

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Manuel Franquero
The language of things
Embajada de España
4/18迄
絵画から写真への「転向」
それには、Franqueroの周到な自らの制作史があるようだ
進化する時間の写真、退化する時間の絵画にも感じる

16marzo2023

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2023年3月15日 (水)

手でふれてみる世界 Le mani toccano il mondo

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視覚に障がいを持つ方々と、横浜美術館や国立新美術館などで、一緒に美術鑑賞したことがあり、互いに言葉が弾む時間を過ごしました。
15marzo2023

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2023年3月11日 (土)

スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた 長崎県美術館+国立西洋美術館

陶磁器の包み紙として使われた浮世絵がヨーロッパに伝わった、若しくは陶磁器の緩衝材として使われて伝わった。
取り扱い易さがある複製技法の版画は広く伝わる。
版画を通じてスペインのイメージを拡げた17世紀初頭から20世紀後半まで時の流れを見てゆく展覧会が、4月から長崎県美術館で始まる。
7月には国立西洋美術館に巡回。
11marzo2023

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2023年3月 5日 (日)

東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密 3/17から

東京国立近代美術館70周年記念展
重要文化財の秘密

《東京国立近代美術館は1952年12月に開館し、2022年度は開館70周年にあたります。これを記念して、明治以降の絵画・彫刻・工芸のうち、重要文化財に指定された作品のみによる豪華な展覧会を開催します。とはいえ、ただの名品展ではありません。今でこそ「傑作」の呼び声高い作品も、発表された当初は、それまでにない新しい表現を打ち立てた「問題作」でもありました。そうした作品が、どのような評価の変遷を経て、重要文化財に指定されるに至ったのかという美術史の秘密にも迫ります。》

《重要文化財は保護の観点から貸出や公開が限られるため、本展はそれらをまとめて見ることのできる得がたい機会となります。これら第一級の作品を通して、日本の近代美術の魅力を再発見していただくことができるでしょう。》

1.史上初、展示作品すべてが重要文化財
明治以降の絵画・彫刻・工芸の重要文化財のみで構成される展覧会は今回が初となります。明治以降の絵画・彫刻・工芸については、2022年11月現在で68件が重要文化財に指定されていますが、まだ国宝はありません。本展ではそのうち51点を展示します。

2.「問題作」が「傑作」になるまで 指定の歩みから浮かび上がる近代日本美術史
明治以降の作品が最初に重要文化財に指定されたのは1955年。以降、いつ、何が指定されたかをたどっていくと、評価のポイントが少しずつ変わってきているように見えます。それはすなわち、近代日本美術史の研究の深まりの反映でもあるでしょう。

3.東京国立近代美術館所蔵の重要文化財全17件を公開
10年前の開館60周年記念展「美術にぶるっ!」展では当館の所蔵品・寄託作品計13点の重要文化財をまとめて展示しましたが、今回はその後に指定された作品や国立工芸館の鈴木長吉《十二の鷹》、そして2022年11月に新たに指定された鏑木清方《築地明石町》《新富町》《浜町河岸》三部作も加えた17件を、初めてまとめて公開します(会期中展示替えがあります。鏑木清方三部作の展示期間は3月17日~4月16日です)。

東京国立近代美術館HPより

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05marzo2023

 

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