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2016年11月

2016年11月 1日 (火)

ダリ展 Salvador Dalí

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 ガラ=サルバドール・ダリ財団(スペイン、フィゲラス)、サルバドール・ダリ美術館(アメリカ、セントピーターズバーグ)、国立ソフィア王妃芸術センター(スペイン、マドリード)という世界の3つの主要なダリ・コレクションから招来された作品を中心に、国内所蔵の重要作品を加えた約250点でサルバドール・ダリの多面的な世界を紹介する国内最大規模の回顧展が、12月12日まで、国立新美術館(東京・六本木)で開催されている。

ダリ展 Salvador Dalí

会期 2016年9月14日(水)-12月12日(月)
休館日 毎週火曜日
開館時間 午前10時-午後6時 毎週金曜日は午後8時まで
       11月19日(土)より会期末までの土曜日も夜間開館を実施
       【実施日】毎週金曜日、11/19(土)、11/26(土)、12/3(土)、12/10(土)
      【開館時間】午前10時-午後8時まで
       ※入場はいずれも閉館の30分前まで
       
会場 国立新美術館 企画展示室1E
    東京都港区六本木7-22-2
    展覧会ホームページ http://salvador-dali.jp
観覧料 一般1,600円 大学生1,200円 高校生800円
      ※団体料金あり(20名以上)※中学生以下無料
      ※障害者手帳をお持ちの方と付添の方1名は無料

主催 国立新美術館 ガラ=サルバドール・ダリ財団 サルバドール・ダリ美術館
    国立ソフィア王妃芸術センター 読売新聞社  日本テレビ放送網  BS日テレ
共催 ぴあ WOWOW
後援 スペイン大使館 TOKYO FM
協力 日本貨物航空 日本航空
特別協賛 キヤノン
協賛 花王 損保ジャパン日本興亜 大日本印刷 大和ハウス工業
    トヨタ自動車 みずほ銀行  三井物産 

問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)

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 本展は、サルバドール・ダリが挑んだ多様な芸術の潮流に挑んだ軌跡を追いながら、「画家、製図工、思想家、文筆家、科学に熱中する人、前衛的な潮流の促進者、イラストレーター、デザイナー、映画監督、舞台デザイナー」と多才な顔を持つダリに迫る。

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© X. Miserachs/Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres, 2016.
Image Rights of Salvador Dalí reserved. Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres, 2016.


  フランス国境とカタルーニャの州都バルセロナの間に位置し、リベラルな気風があるフィゲラスで、ダリは1904年に生まれる。若きダリは、夏を過ごすカダケスで、画家のラモン・ピチョット(1871-1925)から紹介された印象派やポスト印象派の絵画に影響を受ける。マドリードのサン・フェルナンド王立美術アカデミーで絵画、彫刻、版画の特別コースを学んでいる。

 「第1章 初期作品 1904-1922」では、カタルーニャの伝統的な舞踊サルダーナを題材にした水彩画≪魔女たちのサルダーナ≫(1918年頃)、カダケスの風景を前にして描かれた≪ラファエロ風の首をした自画像≫(1921年頃)などが紹介されている。ダリが偏愛する故郷カダケスの風景は生涯にわたり作品中に登場する。

 サン・フェルナンド王立美術アカデミーの授業が時代遅れだと感じたダリは、不満を抱き、反抗的なふるまいをしたため、2度にわたり放校処分を受けている。処分を受けたダリは、かつてフィゲラスの市立素描学校で指導を受けたファン・ヌニェスの見習いとなった。アカデミーの学生寮には、ダリの人生にとって重要となる二人の学友がいた。映画監督のルイス・ブニュエル(1900-83)と詩人のフェデリコ・ガルシア・ロルカ(1898-1936)であった。このころ、ダリはキュビズムに初めて触れ、ネオ・キュビズム、ピュリスム、未来派といった芸術動向を渡り歩いている。1926年、ダリはパリで会ったピカソから大きな影響を受けた。そして、アンドレ・ブルトン(1896-1966)に先導されたグループにダリは参加することとなる。≪ルイス・ブニュエルの肖像≫(1924年)、パブロ・ピカソの作品への傾倒を示す≪静物(スイカ)≫(1924年)、絵画様式の実験を試みた≪少女の後ろ姿≫(1926年)などが「第2章 モダニズムの探求 1922-29)」で展覧できる。

 「第3章 シュルレアリスム時代 1929-39」に入ると、ダリは終生の妻となるガラ・エリュアール(1894-1982)と出会い、シュルレアリスム運動に参加し、画業形成の頂点を迎える。1929年、ダリはルイス・ブニュエルと共同で「アンダルシアの犬」の脚本を書き、撮影をパリで行い、初上映する。シュルレアリスト・グループの集会や、フランス国内の展覧会、講演に参加するほかに、同グループの出版物に寄稿している。

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サルバドール・ダリ《子ども、女への壮大な記念碑》1929年、140.0×81.0cm、カンヴァスに油彩、コラージュ、国立ソフィア王妃芸術センター蔵
Collection of the Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, Madrid
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

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サルバドール・ダリ《謎めいた要素のある風景》1934年、72.8×59.5cm、板に油彩、ガラ=サルバドール・ダリ財団蔵
Collection of the Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

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サルバドール・ダリ《奇妙なものたち》1935年頃、40.5×50.0 cm、板に油彩、コラージュ、ガラ=サルバドール・ダリ財団蔵
Collection of the Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

 

 ガラと詩人ポール・エリュアール(ガラの最初の夫)は、シュルレアリスト・グループのメンバーのアンドレ・ブルトン、フィリップ・スーポー(1897-1990)、ルイ・アラゴン(1897-1982)らと交流し、ガラはグループの集会にも参加している。1929年、ガラはダリと知り合い、その後、エリューアルとの離婚を経て、ダリと再婚する。「第4章 ミューズとしてのガラ」では、ダリの協働者としてのガラが登場する作品を紹介する。≪ガラの測地学的肖像≫(1936年)、≪ターバンを巻いたガラの肖像≫(1939年)、≪雲の中の戦い(立体鏡絵画)≫(1979年)など。

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サルバドール・ダリ《ガラの3つの輝かしい謎》1982年、130.0×140.0 cm、カンヴァスに油彩、国立ソフィア王妃芸術センター蔵
Collection of the Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, Madrid
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

 第二次世界大戦の勃発でダリとガラはアメリカへ亡命し、1948年までアメリカで暮らすこととなった。 「私がシュルレアリスムだ」と公言し、シュルレアリスト・グループと断絶したダリは、広告という力を理解し、自分のパブリックイメージや作品を打ち出し、『ヴォーグ』誌や『タウン・アンド・カントリー』誌とのコラボレーションをはじめ、ファッションデザインや、バレエやオペラの舞台美術など多方面に活動する。さらに自伝の執筆や挿画の制作を行っている。1941年、ニューヨーク近代美術館でダリの最初の回顧展が開かれた。「第5章 アメリカへの亡命 1939-48」は、《幻想的風景 暁》、《幻想的風景 英雄的正午》、《幻想的風景 夕べ》(いずれも1942年)、《アメリカのクリスマスのアレゴリー》(1943年頃)などのほかに、資料として、ダリの顔を表紙に使った『タイム』誌(1936年12月14日発行)、ニューヨーク万国博覧会のパヴィリオン「ヴィーナスの夢」を制作するサルバドール・ダリを撮影した写真(複製)の数々を展示している。

 アメリカ滞在の1940年代にダリは、絵画制作と並行して、演劇、ダンス、映画のデザインを手掛けるほかに、宝飾品制作、執筆、挿絵制作に活動を広げる。「第6章 ダリ的世界の拡張」では、「ドン・ファン・テノーリオ」の舞台美術のスケッチおよび記録写真、『ドン・キホーテ』と『不思議の国のアリス』の挿絵、ダリの著作物を紹介する。

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サルバドール・ダリ《狂えるトリスタン》1938年、45.7×54.9 cm、板に油彩、サルバドール・ダリ美術館蔵
Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida
Worldwide rights: © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Inc. St. Petersburg, Florida, 2016.

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サルバドール・ダリ《記憶の固執(ピン)》1949年、7.0×6.0×1.5cm、金、ダイヤモンド、サルバドール・ダリ美術館蔵
Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida
Worldwide rights: © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Inc. St. Petersburg, Florida, 2016.

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『ドン・キホーテ』の挿絵 1954年、紙にリトグラフ、サルバドール・ダリ美術館蔵
Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida
Worldwide rights: © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Inc. St. Petersburg, Florida, 2016.

 1945年8月に広島と長崎に落とされた原子爆弾による壊滅的な二都市の被害やその後の核実験は、ダリの創造に影響を与えた。インクと鉛筆で描かれた≪炸裂する柔らかい時計≫(1954年、油彩画≪最初の爆発時の柔らかい時計≫の習作)は、1931年の油彩画≪記憶の固執≫では、流れ出し、垂れ落ちる時計は夢の状態の非時間性の象徴であったが、原子力時代の時計は、砕け散ってしまうようなものに変わってしまっている。「第7章 原子力時代の芸術」では、ほかに、≪ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌≫(1945年)、祭壇画の形式を取り入れた聖母子像≪ポルト・リガトの聖母≫(1950年)、フィリップ・ハルスマン撮影の≪ダリ・アトミクス≫(1948年)などを展示している。

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サルバドール・ダリ《炸裂する柔らかい時計》1954年、12.7×17.1cm、紙にインク、鉛筆、サルバドール・ダリ美術館蔵
Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida
Worldwide rights: © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Inc. St. Petersburg, Florida, 2016.

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サルバドール・ダリ《ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌》1945年、66.5×86.5cm、カンヴァスに油彩、
国立ソフィア王妃芸術センター蔵
Collection of the Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, Madrid
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

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サルバドール・ダリ《ポルト・リガトの聖母》1950年、275.3×209.8cm、カンヴァスに油彩、福岡市美術館蔵
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.
※東京会場のみ展示

 ダリは1960年代から生涯の最後まで、古典主義へと回帰した。「第8章 ポルトリガトへの帰還-晩年の作品」の巨大な画面の≪テトゥアンの大会戦≫(1962年)は、フランス19世紀後半のアカデミック様式の巨大なポンピエ絵画の影響を受けた一作。このころにダリは、故郷のフィゲラスにダリ芸術美術館の創設にとりかかる。晩年のダリ作品の特徴をよく示している大作≪ラファエロ的幻覚≫(1979年)、『無題、エル・エスコリアル宮の中庭にいるベラスケスの≪セバスティアン・モーラ≫』(1982年)のほかに、画家としての生涯をしめくくるものとして取り組んだ作品群の一作となる≪位相幾何学的なよじれによって女性像がチェロになる≫(1983年)が紹介される。

ダリ展公式図録
Salvadordaliofficalcatalogue2016
2,900円(税込)
会場ミュージアム・ショップで販売中

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