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2016年8月

2016年8月28日 (日)

展覧会チケットプレゼント

 いずれも応募を終了しました。(9月6日)

 現在、開催中の下記の二つの展覧会の招待券を2枚1組として、先着順で各5名様にプレゼントいたします。ご希望は、お一人一つの展覧会に限らせていただきます。

 ご希望の方は、メールの件名に、「展覧会名(ひとつ)、招待券希望」として、問合せ/Contactでご案内しているメールアドレス宛にご送信ください。

※招待券の転売やオークション出品はおやめくださいますようお願い申し上げます。

聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画
Sacred and Secular: Israhel van Meckenem & Early German Engraving
会場 国立西洋美術館 企画展示室
会期 2016年7月9日(土)-9月19日(月・祝)

アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
Venetian Renaissance Paintings FROM THE GALLERIA DELL'ACCADEMIA, VENICE
会期 2016年7月13日(水)- 10月10日(月・祝)
会場 国立新美術館 企画展示室2E

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2016年8月25日 (木)

世田谷美術館 アルバレス・ブラボ写真展-メキシコ、静かなる光と時 Manuel Álvarez Bravo Photographs - México, Light and Time in Silece

 世田谷美術館(東京・砧公園)で開催中の「アルバレス・ブラボ写真展-メキシコ、静かなる光と時」は今月28日(日)が最終日となる。

 同展は、100歳まで活動を続けたマヌエル・アルバレス・ブラボ(1902-200.)を、最晩年まで見返すことから言うと国際的にも珍しい展覧会となる。

 1930年代、メキシコの舞台芸術の近代化に大きな足跡を残したアメリカ人女性ダンサーのウォルディーン(1913-1993)は、舞台劇「ラ・コロネーラ」(女大佐)の振付をしている。メキシコ女性たちの姿をとおしてメキシコの革命精神と民衆文化を讃えるこの舞台劇を、アルバレス・ブラボは映像で記録を残している。会場でその未発表写真をスライドショーで鑑賞できる。

 自邸暗室でのアルバレス・ブラボの姿を、『ヌードの理論』(青土社、1994年)の編集者、ジェイン・ケリーが撮影した写真の展示もある。

 展覧会の詳細は下記リンクからご覧ください。

マヌエル・アルバレス・ブラボ写真展
―メキシコ、静かなる光と時
Manuel Álvarez Bravo Photographs
―Mexico, Light and Time in Silence

会期 2016年7月2日(土)-8月28日(日)

会場 世田谷美術館 1階展示室
    東京都世田谷区砧公園1-2

S
《自写像》1980年
Self-portrait, 1980
©ColetteUrbajtel/ArchivoManuelÁlvarezBravo,S.C.

◆ミニレクチャー
「30分でよくわかる!アルバレス・ブラボ写真展のポイント」
日時 8月27日(土)
    15:30-16:00(開場15:15)
講師 塚田美紀(世田谷美術館/本展担当学芸員)
会場 世田谷美術館講堂
定員 当日先着140名
参加費 無料

展覧会図録
Manuelalvarezbravocataloguesetabi20
マヌエル・アルバレス・ブラボ写真展
―メキシコ、静かなる光と時
2016年 279頁 27cm
2500円
ミュージアムショップで販売中

【巡回】
名古屋市美術館 2016年11月3日(木・祝)― 12月18日(日)
静岡市美術館 2017年4月8日(土)― 5月28日(日)

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2016年8月20日 (土)

日伊国交樹立150周年特別展 アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち Venetian Renaissance Paintings FROM THE GALLERIA DELL'ACCADEMIA, VENICE

11s
パオロ・ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ)の工房
《羊飼いの礼拝》
油彩/カンヴァス アカデミア美術館

特別出品のティツィアーノの大作《受胎告知》を含めて57点がアカデミア美術館から初来日

 14世紀から18世紀にかけてのヴェネツィア絵画を中心に、約2000点を数える充実したコレクションを有するアカデミア美術館(イタリア・ヴェネツィア、1817年開館)から選りすぐられた57点を展覧できる本邦初の「日伊国交樹立150周年特別展 アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」が国立新美術館(東京・六本木)で10月10日まで開催されている。本展では、15世紀から17世紀初頭にいたるヴェネツィア・ルネサンス絵画の流れが一望できる。

 

日伊国交樹立150周年特別展
アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
Venetian Renaissance Paintings FROM THE GALLERIA DELL'ACCADEMIA, VENICE

会期 2016年7月13日(水)- 10月10日(月・祝)

会場 国立新美術館 企画展示室2E
    東京都港区六本木7-22-2
    展覧会ホームページ http://www.tbs.co.jp/venice2016/

休館日 火曜日 ※ただし8月16日(火)は開館

開館時間 10時-18時
       金曜日、8月13日(土)・20日(土)は20時まで
       (入場は閉館の30分前まで)

主催 国立新美術館、TBS、朝日新聞社
後援 外務省、イタリア大使館、BS-TBS、TBSラジオ、J-WAVE
協賛 日本写真印刷、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
協力 アリタリア−イタリア航空、日本貨物航空、アルテリア、日本通運

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 本展は、「ルネサンスの黎明期-15世紀の画家たち」、「黄金時代の幕開けーティツィアーノとその周辺」、「三人の巨匠たち-ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノ」、「ルネサンスの終焉-巨匠たちの継承者」、そして「ヴェネツィアの肖像画」の五つの章から展示構成されている。

第1章 ルネサンスの黎明―15世紀の画家たち
 自由奔放な筆致による豊かな色彩表現、大胆かつ劇的な構図を特徴とするヴェネツィアのルネサンス美術の中心となったのが、ベッリーニ一族とヴィヴァリーニ一族の二大工房であった。ベッリーニ工房のジョヴァンニ・ベッリーニの《聖母子(赤い智天使の聖母)》 は、何かを問いたげな幼子を聖母を優しく見つめるといった、人間的な母と子の情愛を表している。
 ガブリエル天使から神の子を身ごもったことを告げられた瞬間を表したアントニオ・デ・サリバの《受胎告知の聖母》には、お告げを聞き入るマリアしか描かれていない。ほかに、宗教的主題のなかに当時のヴェネツィアの風俗を見事に描き出したヴィットーレ・カルパッチョの《聖母マリアのエリサベト訪問》や、七宝のような艶やかな色彩で独創的な宗教画を数多く描いたカルロ・クリヴェッリの《福音ヤコポ・デッラ・マルカ》など個性豊かな画家の作品を紹介する。

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アントニオ・デ・サリバ(別名アントネッロ・デ・サリバ)
《受胎告知の聖母》
テンペラ、油彩/板 アカデミア美術館

第2章 黄金時代の幕開けーティツィアーノとその周辺
 16世紀の初頭、二人の若い画家ジョルジョーネとティツィアーノが、真にヴェネツィア独自といえる絵画の伝統を創始した。光と影の効果や色彩の調和に対する感覚を駆使して、柔らかい光に包まれた風景や官能的な女性像を若々しい誌的な感性で描き出し、ヴェネツィア絵画の黄金時代を現出させた。ティツィアーノのいくつかの作品のほか、ジョルジョーネの影響を色濃く示すアンドレア・プレヴィターリのキリスト降誕》やサヴォルドの《受胎告知》、「横たわる裸婦」の系譜に連なるパリス・ボルドーネの作品などが出品されている。そして、ティツィアーノ晩年の大作《受胎告知》(サン・サルヴァドール聖堂から特別出品)が本展の最大の見どころとなる。

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アンドレア・プレヴィターリ
《キリスト降誕》
油彩/カンヴァス アカデミア美術館

第3章 三人の巨匠たち-ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノ
 劇的な明暗表現で宗教画の大作を次々と描いたヤコポ・ティントレットと、華麗な色彩と古典的な様式で貴族たちから高く評価されたパオロ・ヴェロネーゼ、この二人は互いにライバル関係をくり広げながら、ティツィアーノに代わって、16世紀後半のヴェネツィア絵画をけん引する存在となった。
 一方、ヴェネツィアの内陸領土の町バッサーノ・デル・グラッパで独自の制作活動を展開するヤコポ・バッサーノは、情緒豊かな田園風景に託して聖書を主題にした宗教画を描き、首都ヴェネツィアや外国の宮廷でも高く評価された。
 ティントレットの《聖母被昇天》、ヴェロネーゼの《羊飼いの礼拝》、バッサーノの《悔悛する聖ヒエロニムスと天上に顕れる聖母子》など、この章では三人の巨匠たちの大作を中心に紹介する。

11s
パオロ・ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ)の工房
《羊飼いの礼拝》
油彩/カンヴァス アカデミア美術館

13s
ヤコポ・バッサーノ(本名ヤコポ・ダル・ポンテ)
《悔悛する聖ヒエロニムスと天上に顕れる聖母子》
油彩/カンヴァス アカデミア美術館

第4章 ルネサンスの終焉-巨匠たちの後継者
 1580年代の終わりから90年代の前半にかけて、前章の三人の巨匠が次々に他界し、ヴェネツィア絵画は、これら三巨匠のスタイルを受け継ぐ後継者たちの時代となる。ティントレットの息子のドメニコ・ティントレットや、晩年のティツィアーノとティントレットから大きな影響を受けたパルマ・イル・ジョーヴァネが、ヴェネツィアのルネサンス絵画の最後を飾る画家たちとなった。
 さらに世代が下ると、とりわけティツィアーノの画風を模倣したパドヴァニーノは、バロック絵画の始祖とされるカラッチ一族の様式に近い性質ももっており、ルネサンスからバロックへの過渡期を代表する画家が現われる。
 本章では、パルマ・イル・ジョーヴァネの流麗な大型祭壇画や、パドヴァニーノの官能的な神話画《オルフェウスとエウリュディケ》など、ルネサンス様式の終焉とバロック様式への移行を示すいくつかの作品を展示する。

16s
パドヴァニーノ(本名アレッサンドロ・ヴァロターリ)
《オルフェウスとエウリュディケ》
油彩/カンヴァス アカデミア美術館

第5章 ヴェネツィアの肖像画
 実在の人物の姿を生き生きと記録する肖像画は、ヴェネツィア画派が非常に得意とする分野であった。ヴェネツィアの肖像画は、宮廷風の堅苦しさから自由な、ときにカジュアルで、ときに内面性への深い洞察を含んだ様式を発展させ、その後の西洋美術の肖像画制作のモデルとなっていった。
 この章では、ベッリーニの肖像画様式を反映した15世紀のマルコ・バザイーティの作品から、ジョルジョーネとティツィアーノによる肖像画の刷新に連なるジョヴァンニ・カリアーニの《男の肖像》、ベルナルディーノ・リチーニオの《バルツォ帽をかぶった女性の肖像》、ティントレットが闊達な筆致で名門貴族の老人を描いた傑作《サン・マルコ財務官ヤコポ・ソランツォの肖像》など、ルネサンス時代全般にわたる質の高い典型的なヴェネツィア肖像画を展覧できる。

18s
ベルナルディーノ・リチーニオ
《バルツォ帽をかぶった女性の肖像》
油彩/カンヴァス アカデミア美術館

【展覧会公式図録】
Venetianrenaissancepaintingscatalog
ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち展
定価 2,500円(内税)
※ミュージアムショップで販売中

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2016年8月 5日 (金)

展覧会招待券プレゼント 「マヌエル・アルバレス・ブラボ写真展-メキシコ、静かなる光と詩」 

 現在、世田谷美術館で開催中の「マヌエル・アルバレス・ブラボ写真展-メキシコ、静かなる光と詩」の招待券を2枚1組として、先着順で3名様にプレゼントいたします。

マヌエル・アルバレス・ブラボ写真展-メキシコ、静かなる光と詩
会期 2016年7月2日(土)-8月28日(日)
会場 世田谷美術館 1階展示室

 ご希望の方は、メールの件名に「マヌエル・アルバレス・ブラボ写真展招待券希望」として、問合せ/Contactでご案内しているメールアドレス宛にご送信ください。

※招待券の転売やオークション出品はおやめくださいますようお願い申し上げます。

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2016年8月 4日 (木)

展覧会招待券プレゼント 特別展「古代ギリシャ-時空を超えた旅-」

 現在、東京国立博物館で開催中の特別展「古代ギリシャ-時空を超えた旅-」の招待券を2枚1組にして10名様にプレゼントいたします。

 通常ハガキに、「古代ギリシャ展招待券希望」とお書きの上、下記の宛先にお申込みください。 

〒116-0013 荒川郵便局 私書箱22号
特別展「古代ギリシャ-時空を超えた旅-」広報事務局

 ハガキには、招待券のお送り先の郵便番号、ご住所、お名前(フリガナ)をお忘れなくお書きください。お申込みの締め切りは、8月20日までの到着分までといたします。お申込み多数の場合は抽選となります。

特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」
会場 東京国立博物館 平成館(上野公園)
会期 2016年6月21日(火)-9月19日(月・祝)
展覧会紹介サイト 
http://galerialibro.air-nifty.com/blog/2016/08/a-journey-to-th.html

 

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2016年8月 2日 (火)

聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画 Sacred and Secular: Israhel van Meckenem & Early German Engraving

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イスラエル・ファン・メッケネム ≪モリスカダンス≫
エングレーヴィング ミュンヘン州立版画素描館
©Staatliche Graphische Sammlung München

 ドイツ15世紀後半から16世紀初頭のドイツで活動した銅版画家イスラエル・ファン・メッケネム(c.1445-1503)を初めて本格的に紹介する展覧会が、国立西洋美術館(東京・上野)で9月19日まで開催されている。銅版画技術の黎明期にあって、膨大な数の作品を手掛け、銅版画というメディアを普及させたメッケネムは、日本ではほとんどその名が知られていない。本展は、版画、油彩、工芸品など105点で、この知られざる版画家の全貌に迫る。

聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画
Sacred and Secular: Israhel van Meckenem & Early German Engraving

会場 国立西洋美術館 企画展示室
    東京都台東区上野公園7番7号
    展覧会ホームページ http://www.tokyo-np.co.jp/event/meckenem/

会期 2016年7月9日(土)-9月19日(月・祝)
    開館時間 午前9時30分-午後5時30分
    毎週金曜日 午前9時30分-午後8時
    8月の金曜日 午前9時30分-午後8時30分
    ※入館は閉館の30分前まで
    休館日 月曜日(ただし、8月15日、9月19日は開館)

観覧料金 一般1,000円、大学生750円、高校生500円
       ※20名以上の団体料金あり
       ※中学生以下は無料
       ※心身に障害のある方および付添者1名は無料
        (入館の際に障害者手帳を要提示)

主催 国立西洋美術館、ミュンヘン州立版画素描館、東京新聞
協力 全日本空輸株式会社、ヤマトロジスティクス株式会社、公益財団法人西洋美術振興財団

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 1445年頃生まれたイスラエル・ファン・メッケネムは、15世紀後半から16世紀初頭にかけて、現在のオランダ国境に近いライン川下流域の町ボッホルトで活動したドイツの代表的な銅版画家。当時人気のショーンガウアーやデューラーら他の作家の作品を大量にコピーする一方、新しい試みもいち早く取り入れた。また、作品の売り出しにも戦略を駆使するなど、その旺盛な活動から生まれた作品は今日知られるだけでも500-600点あまりにのぼる。

 メッケネム作品の多くはキリスト教主題をもち、人々の生活における信仰の重要性をしのばせているが、なかには当時の信仰生活の「俗」な側面が透けて見えるものも含まれている。男女の駆け引きや人間と動物の逆転した力関係などをユーモアと風刺を込めて描いた非キリスト教的な主題にも取り組んでいる。

 本展は、「I メッケネムの版画制作の展開とコピー」、「II 聖なるもの:キリスト教版画」、「III 俗なるもの:世俗主題版画」、「IV 物語る版画家」、「V 初期銅版画とデザイン、工芸」の五つのテーマに分け、メッケネムの芸術とその時代を多角的に検証する。

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マルティン・ショーンガウアー≪中庭の聖母子≫
エングレーヴィング ミュンヘン州立版画素描館
©Staatliche Graphische Sammlung München

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イスラエル・ファン・メッケネム
マルティン・ショーンガウアーに基づく
≪中庭の聖母子≫
エングレーヴィング ミュンヘン州立版画素描館
©Staatliche Graphische Sammlung München

 メッケネムは生涯に膨大な数の模作(コピー)を手掛け、銅版画をヨーロッパ中に普及させたことが知られている。「I メッケネムの版画制作の展開とコピー」では、自身のオリジナル作品とともに膨大な数の模作の多様な図像をヨーロッパ中に伝播させ、芸術家たちに刺激を与え、歴史的な役割を果たしたメッケネムを紹介する。
 メッケネムは、1490年頃以降マルティン・ショーンガウアー(1430/50-1491)の版画のコピーを数多く制作し、その様式や技法を学んでいると考えられている。ショーンガウアーの《中庭の聖母子》を、メッケネムは左右を反転させているが、メッケネムの作品の細部には多くの違いが見つかる。当時の模作に対する意識が、今日に比べて非常におおらかだったことがわかる。

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イスラエル・ファン・メッケネム ≪聖グレゴリウスのミサ≫
エングレーヴィング ミュンヘン州立版画素描館
©Staatliche Graphische Sammlung München

 「II 聖なるもの:キリスト教版画」では、メッケネムが制作した版画の大半がキリスト教の主題を表し、中世末期ヨーロッパの人々の生活における信仰の重要性を伝えている。中には罪の許しを与える役割をもった作品がある。 聖グレゴリウスのミサを行っていると、祭壇の上方にキリストと受難具が現われたという伝説を描いた《聖グレゴリウスのミサ》には、2万年分の免罪が約束される旨が記されていることから、この作品は神に死後の救済を熱望する人々によって広く買い求められた。贖罪機能をもつ銅版画を手掛けたのは、メッケネムが初めてとされ、彼の商人としての才能が窺われる。

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イスラエル・ファン・メッケネム ≪モリスカダンス≫
エングレーヴィング ミュンヘン州立版画素描館
©Staatliche Graphische Sammlung München

 絵画より安価で手軽に制作でき、その分、主題選択も自由だった版画では、絵画に先駆けて非キリスト教的な主題も取り上げられた。「III 俗なるもの:世俗主題版画」では、メッケネムがたびたび題材にとりあげた男女の駆け引きに対する諷刺や、当時の風俗、人々の生き生きとしたユーモアの精神を伝える作品が並ぶ。
 スペインのムーア人(モリスコ)たちの剣舞に起源をもち、14世紀以降、民衆たちの娯楽としてヨーロッパ中に広まったモリスカダンスを題材にした《モリスカダンス》では、女性が示す褒美の指輪を得ようとし、身をよじり飛び跳ねる男たちは彼女の魔性の虜となり、本能のままに踊らされる。

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イスラエル・ファン・メッケネム ≪エッケ・ホモ≫、連作<受難伝>より
エングレーヴィング ミュンヘン州立版画素描館(外部寄託)
Aschaffenburg, Schloss, Aschaffenburger Bestand der Staatlichen Graphischen Sammlung München

 聖書や古典古代の物語場面を描いた作品群には、メッケネムの版画家としての個性がとりわけ鮮明に表われている。「IV 物語る版画家」の中心となるのは、〈受難伝〉と〈マリア伝〉の二つの連作である。メッケネムの作品には細部描写が充実し、主題に関連したエピソードが画面奥に小さく描き加えられている。これらの特徴はメッケネムの物語表現に共通するもので、彼の物語ることへの情熱を示している。
 ローマ総督ピラトが「エッケ・ホモ(この人を見よ」」と呼びかけて、キリストの無実を群衆に示そうとした《エッケ・ホモ》。画面奥には、妻から彼女が見た夢の話を聞くピラトの姿も描かれている。

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イスラエル・ファン・メッケネム ≪狩人をあぶる野うさぎたちのオーナメント≫ エングレーヴィング
大英博物館
©The Trustees of the British Museum

 「V 初期銅版画とデザイン、工芸」では、メッケネムが植物と人や動物を組み合わせて制作したデザイン性の高い版画作品を紹介する。画面全体を覆う蔓草に人物や動物を組み合わせた複雑かつ華麗な作品は、独立した芸術作品としても鑑賞されたと考えられている。これらの版画は、職人たちのためのデザインの参考としても用いられた。初期の銅版画と金銀細工の関係にも注目している。

【関連イベント】
講演会「ドイツ初期版画の魅力」
日時 2016年 8月6日(土)14:00-15:30
講師 平川佳世(京都大学大学院准教授)
会場 国立西洋美術館講堂(地下2階)
定員 先着140名(聴講無料。ただし聴講券と本展の観覧券が必要。)

講演会「俗なるもの-メッケネムと世俗主題版画」
日時:2016年8月27日(土)14:00-15:30
講師 中田明日佳(国立西洋美術館研究員)
会場 国立西洋美術館講堂(地下2階)
定員 先着140名(聴講無料。ただし聴講券と本展の観覧券が必要。)

※各講演会の参加方法の詳細は、国立西洋美術館のホームページを参照。

スライドトーク
展覧会のみどころや主な作品について、スライドを使って説明する。
日時 2016年 8月12日(金)、9月9日(金)
    各回18:00より開始(約30 分)
会場 国立西洋美術館講堂(地下2階)
解説者 中田明日佳(国立西洋美術館研究員)
定員 各回先着140名(聴講無料。ただし、本展の観覧券が必要。)
※参加方法の詳細は国立西洋美術館のホームページを参照。

【展覧会カタログ】
Im_2016meckenemcatalogue
聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画
2016年発行、292頁
2,300円(税込)
※美術館ミュージアムショップで販売中

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特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」 A Journey to the Land of Immortals: Treasures of Ancient Greece

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漁夫のフレスコ画 前17世紀 テラ先史博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

 ヨーロッパのバルカン半島南端に位置するギリシャは、エーゲ海、イオニア海、ミルトア海、クレタ海に囲まれ、その海上には大小6000近くの島々が散在している。西洋文明の発祥地と考えられているギリシャの新石器時代からローマ時代までの土器、彫刻、絵画、宝飾品など325件を展示する特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」が、9月19日まで東京国立博物館(東京・上野)で開催されている。ギリシア国内の40か所以上の国立博物館群から集められた展示品の9割以上が日本初公開となる。

特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」
A Journey to the Land of Immortals: Treasures of Ancient Greece

会場 東京国立博物館 平成館(上野公園)
    東京都台東区上野公園13-9
    http://www.tnm.jp/

会期 2016年6月21日(火)-9月19日(月・祝)
    休館日 月曜日
    ※ただし8月15日(月)、9月19日(月・祝)は開館
    開館時間 午前9時30分-午後5時
    ※土日・祝日は午後6時まで
    金曜日および8月の水曜日は午後8時まで
    入館は閉館の30分前まで

観覧料 一般1600円、大学生1200円、高校生900円
      ※中学生以下無料
      ※20名以上は団体料金有
            ※障がい者とその介護者1名は無料
       (入館の際に障がい者手帳などを要提示)
      ※他の展覧会との相互割引あり(詳細は展覧会公式サイトを参照)

主催 東京国立博物館、ギリシャ共和国文化・スポーツ省、 朝日新聞社、
    NHK、NHKプロモーション
企画協力 東映
後援 外務省、駐日ギリシャ大使館
協賛 あいおいニッセイ同和損保、竹中工務店、日本写真印刷、三菱商事
監修 芳賀 京子(東北大学准教授)

問合せ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト  http://www.greece2016-17.jp/

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 本展は、古代ギリシャ世界のはじまりからヘレニズム時代・ローマ時代までを八つのテーマに分けた展示が行われている。

 新石器時代の初期、ギリシャの人々は定住して農耕や牧畜を行いながら、神々への祭祀や葬祭のために人の形の像をつくり、祈りをささげていた。「第1章 古代ギリシャ世界のはじまり(前6800年~前2000年頃)」は、新石器時代の赤く彩色された《赤色彩文鉢》や文様が描かれた《四耳付壺》、青銅器時代に入って、キュクラデス文明期の人の形を抽象的に表した《スペドス型女性像》の変化に富んだ大理石小像などを紹介する。

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スペドス型女性像 初期キュクラデスⅡ期 (前2800~前2300年) キュクラデス博物館蔵
©Nicholas and Dolly Goulandris Foundation- Museum of Cycladic Art, Athens, Greece

 「第2章 ミノス文明(前3200年頃~前1100年頃)」は、エーゲ海の南端に浮かぶクレタ島で開花した海洋文明のミノス文明を紹介する。
 伝説のミノス王の名前に由来しているミノス文明(もしくはクレタ文明)における大都市クノッソスの中心にクノッソス宮殿が建造された。その遺構から発掘された《2階建て建物の模型》、《飾り板 通称「町のモザイク」》、《魚形ペンダント》、さらにクレタ各地に建てられた宮殿(フェストス、マリア、ザクロス)から出土された杯、葡萄酒甕などが展示されている。
 エーゲ文明の重要な中心地のひとつであるテラ島は、前17世紀の大噴火で分厚い火山灰層の下に埋もれてしまったが、そのおかげで島の遺産は極めて良好な状態で保存されていた。そのテラ島から、土器や壁画などの多くの美術品が発掘された。テラ島のアクロティリの集落で出土した《漁夫のフレスコ画》は、エーゲ美術のモニュメンタルな絵画のなかで最も重要な作品のひとつに数えられている。

 「第3章 ミュケナイ文明(前1600年~前1100年頃)」は、ミュケナイをはじめとするいくつかの地に力を持つ王が現われ、宮殿や城壁を築き、さらにクレタ島までも支配下に置き、ミュケナイ文明が築かれる。権力者は優れた戦士を誇りにして、戦士の死後には立派な武具や黄金の装身具で飾り埋葬した。戦士を表す象牙浮彫り、銅剣、金杯、ネックレスや指輪などの宝飾品、祭祀と儀礼に使われた品々が展覧できる。

 「第4章 幾何学時代~アルカイック時代(前900年頃~前480年)」は、幾何学文で装飾されたカップ《幾何学様式スキュフォス》や墓標や副葬品として使用された《アッティカ幾何学様式アンフォラ》が表われた幾何学模様時代から展示が始まる。
 前8世紀頃、ギリシャ各地で都市国家(ポリス)が形成され、前776年には第1回オリンピックが開催された。その後、オリエントとの交易が本格化し、輸入品ばかりでなく、ギリシャは技術や美術モチーフまでも吸収する東方化様式時代へと続く。青銅の薄板を打ち出してつくった祭具《鼎脚部 ヘラクレスとアポロンによるデルフォイの鼎争い》、象牙や骨の浮彫り細工の《女性小像》や《櫛》、オリエント由来の動物や植物をモチーフにした《プロトアッティカ式オイノコエ》と《プロトアッティカ式ルテリオン 舟を漕ぐ人》などがある。
 前7世紀後半からはギリシャはエジプトと盛んに接触し、前6世紀のアルカイック時代が始まる。ギリシャ各地に形成された彫刻工房では、クーロス(男性裸体像)はエジプト彫刻を模倣することから始まる。そして、数十年のうちに自然な筋肉表現へと大きな変化を成し遂げた。コレー(女性着衣像)を含めて、等身大の大理石彫刻が展示され、アルカイック時代特有の微笑み(アルカイック・スマイル)を見ることができる。

 紀元前508年、アテネに民主政が確立し、その民主政を維持するために、陶片追放が制定された。この新政体のギリシャに襲いかかるペルシャ軍をギリシャは撃退し、アテネとギリシャが最も繁栄したクラシック時代の幕が開く。アテネのアクロポリスにはパルテノン神殿が建設され、演劇や哲学が盛んになり、後の西洋美術に大きな影響を与えるような彫刻・絵画表現が生み出された。「第5章 クラシック時代(前480~前323年)」では、人間の理想美を具現化した美術作品のほかに、オストラキスモス(陶片追放)の名が刻まれた陶片や、公職者を公平に選ぶくじ引きの道具から、ギリシャの民主政が感じられる。《奉納浮彫り アポロン、アルテミス、レト》、《アッティカ赤像式萼形クラテル ディオニュソスとアリアドネ、ポセイドンとアミュモネ》、《アリストテレス像》などがある。

 紀元前8世紀、オリンピアのゼウス神域で4年に一度の競技祭が始まった。最初は短距離走だけであったが、5種競技(徒競走、円盤投げ、槍投げ、走り幅跳び、レスリング)や総合格闘技、競馬や戦車競走など、次第に競技の数も増え、全ギリシャから選手が集う大競技祭に発展した。優勝者はこの上ない名誉を得、その彫像が神域に奉納された。「第6章 古代オリンピック」は、競技種目を陶器画などでご紹介するとともに、競技者像が優勝者たちの姿を、神域に奉納された競技道具が優勝者たちの思いを伝える。《赤像式パナテナイア小型アンフォラ ボクシング》、《アッティカ黒像式ピュクシス 戦車競走》、《円盤投げ小像》などがある。

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赤像式パナテナイア小型アンフォラ ボクシング 前500年頃 アテネ国立考古学博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

 ギリシャ北方のマケドニアは、牧畜や農業に加え、木材が豊かで、金を含む鉱物資源も豊富に産出する。そのためマケドニア王国が成立する以前から、権力者の墓から、副葬された黄金製品が出土している。「第7章 マケドニア王国」は、新石器時代から、紀元前4世紀末のアレクサンドロス時代、さらにヘレニズム時代の墓に至るまでの、冠や宝飾品を紹介する。
 マケドニア王フィリッポス2世は、娘の結婚式の最中に、側近の手で暗殺された。王を継いだのは、かつてフィリッポスがアテネとテバイの連合軍を撃破した戦いで、その左翼を担った弱冠20歳の息子アレクサンドロスであった。アテネのアクロポリスで発見された《アレクサンドロス頭部》は、彼が20歳前後に彫られたもので、生前の姿を現した世界で唯一の貴重な作品となる。

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アレクサンドロス頭部 前340~前330年 アクロポリス博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

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ギンバイカの金冠 前4世紀後半 テッサロニキ考古学博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

 「第8章 ヘレニズムとローマ(前323年~)」は、ギリシャの美の拡がりをテーマにした展示が行われている。
 紀元前323年にアレクサンドロス大王が没すると、後継者と名乗る将軍たちは広大な領土を巡って争った。諸王国が互いに争った動乱期をヘレニズム時代(前323~前31年)と呼ばれている。ヘレニズム時代にギリシャ美術ははるか東にまで伝播したが、同時にギリシャの美術もまた大きな変化を経験し、多様性を獲得した。リアルな肖像彫刻《君主頭部》や官能的で繊細優美な女性像《アルテミス像》などがつくられた。
 エジプトの女王クレオパトラがローマに敗れ、ローマ時代が始まるが、アテネなどのギリシャ彫刻工房はなおも活発に活動し、ローマで活躍していた芸術家にはかなりの割合がギリシャ人だった。ローマ時代からは、《ハドリアヌス帝頭部》、《アフロディテを表したモザイク》、《オプス・セクティレの舗床パネル》などが展覧できる。

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アルテミス像 前100年頃 アテネ国立考古学博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

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「第6章 古代オリンピック」展示会場

※音声ガイド(有料)に俳優の市村正親さんが古代ギリシャの旅の案内人として出演している。

展覧会図録
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2016年発行
404ページ
A4変形判
図版ページカラー
2,800円(税込)
※会場ミュージアムショップで販売中

 

 

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